映画『SEOBOK/ソボク』が日本でも劇場公開された。
テレビコマーシャルでも大きく宣伝されていたので、この映画に関心を寄せた人も多いと思われるが、なんといっても、コン・ユとパク・ボゴムという人気スターが競演していることが本当に話題になっている。
パク・ボゴムはいま兵役に入っているが、芸能活動ができない彼の貴重な作品ということでこの映画を楽しみにしていたファンも多いことだろう。
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とにかく斬新な映画である。
テーマとなっているのは人類初のクローン人間となったソボクだ。パク・ボゴムが演じているが、このソボクに同行して目的を果たそうとする元情報局員ギホンにコン・ユが扮している。この2人がクローン人間を手に入れようとする敵対勢力と対決していく展開がスリリングに描かれている。まさに新しい未来図を見せてくれるような映画が『SEOBOK/ソボク』なのである。
メガホンを取ったのは、映画『建築学概論』で大ヒットを飛ばしたイ・ヨンジュ監督で、巧みな構成で物語を作る手腕に定評がある。しかも、コン・ユが取り組んだアクションシーンを見事に演出していた。もちろん、コン・ユの役者魂も迫力満点であった。
それにしても、この映画には紆余曲折が多かった。
なにしろ、撮影がスタートしたのは2019年5月で、2019年10月にあらゆる撮影を終えていた。その後にじっくりと編集作業を行なったのだが、コロナ禍の影響を受けて何度も公開が延期になり、ようやく韓国で公開され、日本でも今夏に劇場で見られることになった。
タイトルにある「ソボク」というのは、古代中国の秦の時代に、始皇帝の命令で不老長寿の薬を探した徐福(ソボク)にあやかっている。
確かに、クローン人間というのも不老長寿である。パク・ボゴムが演じるソボクは不老不死を象徴する存在であり、そんな彼を人間が奪い合うというのも、なんとも皮肉なことだ。
そういう意味でも、『SEOBOK/ソボク』という作品はいろんな示唆を含んでいて、とても味わいがある映画だ
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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