何年も前に韓国で制作されたドラマなのに、いまだに高い人気を誇っているのが『オクニョ 運命の女(ひと)』である。
このドラマで主役のチン・セヨンが扮するオクニョは、典獄署(チョノクソ)で育ったという設定になっていた。
典獄署といえば、今でいう刑務所である。この中には多くの囚人が収監されていた。
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そんなところでオクニョは育ったわけだから、物語の設定は相当に奇抜だ。
逆にいえば、たくさんのワケありの囚人たちを登場させることができるので、『オクニョ 運命の女(ひと)』は興味深いキャラクターの宝庫となった。このあたりの登場人物の生かし方は、さすが「時代劇の巨匠」と言われるイ・ビョンフン監督の腕が冴えている。
そして、このドラマでは茶母(タモ)が重要な役柄として出てくる。
この茶母とは何だろうか。
厳密に言えば、お茶に関する仕事をしていたのが茶母である。しかし、茶母は仕事を発展させて女性刑事のような職務も果たしていた。
もともと、朝鮮王朝時代には男尊女卑が根付いていて、男女が気軽に話をすることも戒められていた。
すると、男性の警察官が女性の容疑者を取り調べることが難しくなった。
それゆえ、男性の捜査官をアシストする女性の捜査官が必要だった。その役を担ったのが茶母であり、やがて茶母は女性刑事の代名詞になった。
実際、朝鮮王朝時代には茶母の活躍がめざましかったようだ。彼女たちは女性特有の勘を働かせて女性容疑者を確実に取り調べていった。
まさに、男性の捜査官もかなわないプロが茶母の中には多かった。
とにかく、朝鮮王朝時代に女性は活動を制限されており、専門職がほとんどいなかったが、茶母だけはまったく違ったのである。
そんな茶母を『オクニョ 運命の女(ひと)』は大いにクローズアップさせた。このドラマを見て、改めて茶母の活躍に喝采を送ろう。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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