ヨ・ジングが主演しているドラマ『王になった男』だが、先に映画版の『王になった男』が作られていて、イ・ビョンホンが主演していた。
映画版とドラマを比較すると明らかな違いがある。それは、王妃の描き方が全然違うということだ。
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映画版ではハン・ヒョジュが王妃を演じたのだが、出番がとても少なくてストーリーのうえでは王妃の影が薄かったように感じられた。
しかし、ドラマでは描き方がまるで違う。王妃のソウンはとても重要な登場人物であり、王と王妃のラブロマンスもドラマの中心的なエピソードになっていた。この王妃を演じているイ・セヨンは、ドラマにおいても存在感が極めて高かった。
彼女は子役として『宮廷女官 チャングムの誓い』にも出演していたし、その他のドラマでも主役の子供時代を演じて定評があった。そして、大人の俳優として成長し、『王になった男』でも大役を任されたのだ。
王妃が特に重要な場面に登場したのは、主に3つの局面だった。
1つ目は、高官だった自分の父親が殺されそうになったときだ。このときは反対の気持ちを鮮明にするために、刀を隠し持って国王の前で自分が自害しようとした。
2つ目は、国王が優しく接してくれたと思ったのに、寝室で国王に乱暴な振る舞いをされたときだ。
このときは、道化師のハソンが国王になっていたのではなく、相変わらず冷酷な本物の王が精神に異常をきたしていたのでやむを得なかった。このときもイ・セヨンは、毅然とした態度で王妃の意志の強さを表していた。
3つ目の注目すべき場面は、自分に優しくしてくれていた王が実は本物ではなく、道化師のハソンが成り代わっていたことに気づいたときだった。王妃のショックはあまりにも大きかった。そんな不安定な精神状態を、イ・セヨンは枯葉が揺れて落ちるように切なく演じきっていた。
このように王妃の役は、感情の激しさを随所に見せていた。こういう演技において、イ・セヨンの繊細でありながら起伏がある表し方はとても情感に溢れていた。
イ・セヨンは、王妃の存在感を美しく、そして、激しく見せていた。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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