イ・ジヌクは、イメージ的には硬派な俳優であった。しかし、多彩な役に扮する柔軟性も持っていて、それを再認識したのが2021年の映画『ハッピーニューイヤー』だった。
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この作品は、高級ホテルを舞台にして14人の登場人物の心温まるエピソードを織り込んだ作品だった。目に鮮やかな豪華キャストが集結していたが、その中でイ・ジヌクが演じた整形外科医のジンホはユニークだった。毎週土曜日ごとにホテルでお見合いをしたのに、なぜか、常に断られていた。
「彼のように条件がいい男がどうして?」と思えてしまうが、実は、ハン・ジミンが演じたホテル・マネージャーのソジンとのラブロマンスが準備される展開だったのだ。そういうエピソードの中で、イ・ジヌクは、とぼけた柔らかさを前面に出していた。そのときは、イ・ジヌクの新しい一面を見た感じがした。
いまNetflixで配信中の『エスクワイア:弁護士を夢見る弁護士たち』では、イ・ジヌクが法律事務所ユルリムの訴訟チーム長となるユン・ソクフンに扮している。ソクフンは有能な弁護士で、常に原則を守る男だ。しかも、無駄な話をまったくしない。愛想を浮かべることがないし、誰かのご機嫌を取ることもない。ひたすら依頼人の勝訴のために全力を尽くしている。
身だしなみも完璧で、スーツ姿にスキがない。さらに、職場で気に入らない相手がいれば鋭く批判している。このように軸がぶれない人間なのである。
そんなソクフンから見れば、訴訟チームに新たに入って来た新人弁護士のカン・ヒョミン(演者チョン・チェヨン)は、社会人として足りないことが多い。それでも、ヒョミンが訴訟問題で大変有能であることがわかると、素直に高い評価を与えている。
本来、ソクフンは根が温かい人間だ。『エスクワイア:弁護士を夢見る弁護士たち』第4話では、人間失格の依頼人に対して拳で殴るほどの怒りを爆発させている。
そんなソクフンをイ・ジヌクが揺るがない信念で演じている。表情も精悍だし、言動にも信頼性がある。法廷ドラマにおいてもこれほど頼りになる弁護士はいない、と思わせる表現力がイ・ジヌクには備わっている。主役として申し分がない存在だ。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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