現在放送中の韓国JTBCドラマ『エスクワイア:弁護士を夢見る弁護士たち』（日本ではNetflixで配信中）は、現代の法曹界を舞台に、若き弁護士たちの成長と葛藤を描いた群像劇である。
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物語の中心にいるのは、完璧なスーツ姿と冷徹な眼差しで周囲を圧倒するベテラン弁護士ユン・ソクフン（演者イ・ジヌク）、そして現実社会の厳しさに翻弄されながらも希望の灯を手放さない新人弁護士たちだ。
現実と理想の狭間で揺れ動く彼らの姿は、まさに今を生きる視聴者たちに通じる人生の裁判そのものである。
その中で、静かな存在感を放っているのがイ・ハクジュ演じるイ・ジヌである。彼は法律事務所ユルリムの訴訟チームに所属するアソシエイト弁護士であり、一見すると冷静沈着で理屈の男に見える。
しかしその内側には、理不尽な現実にも屈せず、正義の意味を問い続ける熱い心が秘められている。激情をぶつけることなく、静かな眼差しで訴えかけるその演技には、イ・ハクジュならではの繊細な情熱が宿っている。
イ・ハクジュの俳優としての歩みは、まるで深い湖に一滴ずつ染み込んでいく水彩のように、静かだが確かな印象を残してきた。彼が出演する作品は、ジャンルや時代を問わず、その都度観る者の心に余韻を刻みつける。
たとえば『アルハンブラ宮殿の思い出』では、彼はパク・シネ演じるチャン・ヒジュの友人キム・サンボムを演じた。
『夫婦の世界』では、シム・ウヌ扮するバーテンダーのミン・ヒョンソの恋人パク・インギュとして登場した。
さらに、時代劇『恋人～あの日聞いた花の咲く音～』では、アン・ウンジン扮するユ・ギルチェの初恋の相手ナム・ヨンジュンを演じた。
そして、『ジャガイモ研究所』では、イ・ソンビン演じるキム・ミギョンの元恋人パク・ギセに扮し、コメディとヒューマンドラマの間を絶妙なバランスで行き来する柔軟さを見せつけた。
どの作品においても、イ・ハクジュは物語の中に静かに入り込み、空気を変える力を持っている。彼の演技は決して声高ではないが、その沈黙の中にこそ真実が宿る。
『エスクワイア:弁護士を夢見る弁護士たち』でもまた、彼は1人の弁護士の複雑な内面を丁寧に紡ぎ出し、視聴者に深い共感と希望を届けている。
イ・ハクジュとは、表に出る派手さではなく、内面からにじみ出る力強さで作品を支える俳優である。その存在はまさに、韓国ドラマという広大な舞台の中で、確かな“支柱”として静かに輝き続けている。
文＝大地 康
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