テレビ東京で放送されている『善徳女王』では、9月18日の第12話でオム・テウンが演じるキム・ユシン(金庾信)と父親が大出世していく様子が描かれていた。
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その父親とは、チョン・ソンモが演じているキム・ソヒョン(金舒玄)だ。立派な将軍だった彼は、とても大事な任務をやりとげて、新羅(シルラ)の真平王(チンピョンワン)から重要な会議への出席を許されるほど大出世していた。それにつれてキム・ユシンも真平王から領土を授かっている。
このように、キム・ユシンの親子が『善徳女王』の中で存在感を増しているが、それは史実に合った設定であった。というのは、歴史書『三国史記』でも、キム・ソヒョンとキム・ユシンの活躍が大々的に記されていたからだ。
もともと、キム・ユシンの先祖は、伽耶(かや)の始祖の金首露(キム・スロ)である。この伽耶という国は、鉄の生産などを通して国力を高めていた。
しかし、三国時代で覇を競った高句麗(コグリョ)、百済(ペクチェ)、新羅が中央集権の国家として発展する中で、伽耶は部族国家として限定的に国土を統治せざるをえない状況となり、周辺国より遅れてしまった。その結果、伽耶は中央集権国家になることができずに、6世紀前半には新羅に吸収された。
それでも、キム・ユシンの先祖たちは新羅で活躍の場を得て、キム・ユシンの祖父の金武力(キム・ムリョク)にいたっては、真興王(チヌンワン)のときに勇将としてその名を轟かせていた。その息子がキム・ソヒョンなのである。
善徳女王の父親である真平王の統治下で、キム・ソヒョンは将軍として知力に優れた能力を発揮した。しかし、当時の新羅は、父母ともに歴代国王の血を引く「聖骨(ソンゴル)」か、父母のどちらかが歴代国王の血を引く「真骨(チンゴル)」でなければ、重要な官職に就くことができなかった。
その点でキム・ソヒョンと息子のキム・ユシンは不利だったのだが、2人は出来の良さで自らの地位を築いていった。そういう意味で、正真正銘の「最強の親子」であった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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