『朝鮮王朝実録』に出てくる実在のチャングムは果たして何者だったのか

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イ・ヨンエが演じている『宮廷女官チャングムの誓い』の主人公チャングムは、歴史上で実在した医女であり、朝鮮王朝の出来事を編年体で記した『朝鮮王朝実録』には「長今(チャングム)」として登場する。

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最初の記述があるのは、1515年3月21日の項目だ。「医女の長今は功績があったので当然のごとく褒美を受けるべきだが、問題が起こって未だに褒美をもらえない」と書いている。ここで言う「問題」の中身については、翌日にこう記された。

「医女である長今の罪は大きい。産後に王妃の衣装を替えるとき、それをしないでおくとは、どういうことなのか」

この記述を見るかぎり、かなり批判されている。ここで出てくる王妃は、11代王・中宗(チュンジョン)の妻であった章敬(チャンギョン)王后だ。中宗との間で長男を出産したのだが、その直後に亡くなっている。このとき、王妃のそばで治療に当たっていたのが長今であり、『朝鮮王朝実録』の記述によると、彼女は王妃の衣装を替える際に不手際をおかしてしまったようだ。

普通なら処罰を受けてしまうところだろうが、長今に関する記述はその後にも出てくる。経験を積むに従って腕を上げたようで、『朝鮮王朝実録』の1524年12月15日の記述では「医女である大長今の医術は、他の者より少し優れている」となっている。ついに、名前の前に「大」がつけられている。

チャングムの誓い
ドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』の一場面(写真=2003-2004 MBC)

中宗から信頼されていた医女

さらに、1544年10月26日の『朝鮮王朝実録』の記述によると、中宗が「余の病状は医女(長今)が知っている」と語ったとされる。王にここまで信頼されるのだから、長今は名医であったに違いない。

「韓国時代劇の巨匠」と言われるイ・ビョンフン監督は、『朝鮮王朝実録』を調べていて、この中宗の言葉に惹かれて長今を主人公にしたドラマの着想を得たそうだ。

ただし、最初は料理を作る女官に設定し、流罪先の済州島(チェジュド)で医術を学んで王宮に医女として戻ってくる、という展開を作った。それによって、『宮廷女官チャングムの誓い』は時代劇として最高級のストーリーを有することになった。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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