『赤い袖先』でイ・ジュノが演じたイ・サンはどれほど賢い君主だったのか

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ドラマ『赤い袖先』を見て、主人公イ・サンの人物像に興味を持った人も多いことだろう。実際、朝鮮王朝の正史『朝鮮王朝実録』に記されているイ・サンの言動について調べてみると、彼が語る言葉は常に思慮深くて深い学識に裏付けられていた。

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こうした資質を生かしてイ・サンが行なった善政の数々は、韓国の歴史に詳しく残っている。それらを象徴的に言えば、人材の抜擢(ばってき)、庶民生活の向上、文化の発展、法制度の改善などであり、イ・サンが成し遂げた功績は本当に大きかった。

とはいえ、イ・サンの人生を見ていくと、日々の苦労が並大抵ではなかった。『朝鮮王朝実録』によれば、世孫(セソン/国王の正式な後継者となる孫)としてのイ・サンは、多くの高官から厳しい目で見られていた。彼が「国王にふさわしくない」との評価を受けていた背景には、老論派(ノロンパ)の陰謀が存在していた。

この派閥は、亡き思悼世子(サドセジャ)を陥れた過去があり、イ・サンが国王に即位すればその過去の行ないへの報復をされると恐れていた。

それゆえ、老論派はイ・サンを激しく攻撃したのだが、その策略は『赤い袖先』でも巧みに取り扱われており、ドラマは王宮内の複雑な権力闘争を見事に描写していた。

『赤い袖先』ではイ・ジュノがイ・サンを演じた(NBCユニバーサル・エンターテイメント/©2021MBC)

イ・ジュノの繊細な演技

撮影前からこれらの歴史的背景を深く理解していたイ・ジュノは、イ・サンの難しい立場を微細に演じていた。特に、イ・ドクファが演じる英祖(ヨンジョ)から叱責を受けるシーンでは、イ・ジュノの演技が次代の国王にふさわしい風格をかもしだしていた。その後の国王としての即位には、揺るぎない意志と困難に立ち向かう覚悟も表現されていた。

『赤い袖先』はイ・サンとソン・ドギムの深い愛を中心に物語が進行していたが、その中でイ・サンが多くの敵に囲まれながらも国王に即位する過程が劇的に描かれていた。このドラマの中でのイ・ジュノの繊細な演技は、『赤い袖先』の深みを際立たせていたと言える。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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