テレビ東京の韓流プレミアで放送されている『イ・サン』では、7月20日の第47話において、イ・ソジンが演じるイ・サンがキム・ヨジンの扮する貞純王后の処遇決定に苦慮している姿が描かれた。
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興味深いのは、史実ではイ・サンがどうしたかということだ。ここで詳しく解説してみよう。
イ・サンは、即位してから父の思悼世子(サドセジャ)の死に関与した者たちを厳粛に処罰した。しかしながら、扱いが極めて難解だったのが貞純王后であった。彼女はイ・サンの「祖母」に位置づけられていた。
年齢差はほんの7歳とわずかだが、これは彼の祖父の英祖(ヨンジョ)が65歳のときに14歳の貞純王后を迎えた結果だった。それにより、年齢の観点からすると、非常に違和感を伴う祖母と孫の関係が形成されてしまった。
貞純王后が思悼世子を死に追い込む勢力に加わったのは、彼女の父が老論派の高官だったことが理由だった。結局、イ・サンは貞純王后の陰謀があまりにも過激だったと認識していた。
心の底では彼女に厳罰を与えたいという欲求が湧き上がっていた。亡き父の悔しさを思い巡らすと、イ・サンは貞純王后がこれからも安寧に生活する姿を目の当たりにしたくなかったのである。
この処分の問題は至難の業であった。「判断を誤れば、再び政変が巻き起こる」とイ・サンは思い悩んでいた。そんな彼のもとに、「貞純王后が断食を始めた」との知らせが届いた。イ・サンもこれをそのまま受け入れたわけではなかった。「死を前にして処罰を逃れる」というのが断食の演出であることを彼は見抜いていた。
しかし、世間の見方は異なった。突如として、貞純王后への同情論が湧き上がったのだ。そのような「祖母」をイ・サンが即位してすぐに罰すれば、反感を買うことは必至であった。
先手を打たれたと感じたイ・サンは、苦悩の末、貞純王后を不問にすることを決断した。先王の正妻という地位は、それほどに重かったのである。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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