イ・ソジンは『チェオクの剣』で時代劇を経験していた。その演技力が高く評価されて、『イ・サン』を準備していたイ・ビョンフン監督から主役にオファーされた。
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なにしろ「時代劇の巨匠」である。この名監督はイ・ソジンが出演を受けてもらえると思ったら、なんとイ・ソジンが断ってしまった。
意表をつかれたイ・ビョンフン監督。彼はあきらめずに何度もオファーした。そのうちにイ・ソジン自身の考えも変わってきた。
「何度もオファーを受けていたので、台本を読みながら考えました。それから少しずつイ・サンという人物に関心を持つようになり、最終的に出演を決めたのです」
このように、イ・ソジンは慎重な性格だ。彼はシナリオを読み続けて確信を持ってから主演を承諾したのである。
その末に演じたイ・サンというキャラクター。イ・ソジンは自分が演じる役をどう捉えたのか。
「イ・サンも、この世を生きながら、いろんな悩みを抱えていたに違いない。だからこそ、人間臭い部分をたくさん表現することを意識して演技しました。“王の性格はこうだったのではないか”とか、自分なりに解釈していました」
俳優の世界で「理論派」と呼ばれるイ・ソジンの解釈は的確だ。彼は自ら演じる役の性格をしっかり把握してから表現方法を考え抜いていったのだ。
彼は「時代劇も現代ドラマも、演じるということに関しては大きな違いはありません」と語っている。それは、現代でも過去でも「人の感情に変わりはない」ということに気づいていたからだ。
イ・ソジンはキッパリと言っている。
「いつの時代にも通用する“感情”というものがあると僕は思っています」
こう断言するイ・ソジンが痛感している「時代劇の魅力」は何だろうか。
「史実に基づいた物語だということに尽きると思います。それゆえ、ストーリーが進めやすく、勉強にもなるし、説得力もある。これこそが時代劇の長所なのではないでしょうか」
このように指摘した「時代劇の長所」をいかんなく発揮したのが『イ・サン』というドラマであった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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