大評判となった時代劇『シュルプ』。ドラマを通して緊張感を与えてきたのが、王妃と大妃(テビ/国王の母)の対面シーンだった。
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キム・ヘスが演じた主役のファリョン王妃は、大君(テグン/国王の正室が産んだ息子)たちを立派な王族に育てるために心血を注いでいく。
一方、キム・ヘスクが扮した大妃は、王宮の内命婦(ネミョンブ/側室・女官たちの組織)を取り仕切るために様々な策を弄(ろう)していく。その過程でファリョン王妃と大妃は自分の立場を守るために熾烈な心理戦を繰り広げていく。
この時代劇は架空の設定なので、実在した人物がいるわけではないのだが、518年間の朝鮮王朝の歴史を調べ上げて、いかにも史実にありそうな話をふんだんに取り入れている。
たとえば、大妃はもともと先王の側室だったのだが、先王の王妃を廃妃(ペビ)に追い込んで自分がまんまと側室から王妃に昇格していた。
史実で言えば、張禧嬪(チャン・ヒビン)がまったく同じ経歴をたどっている。彼女も仁顕(イニョン)王后を廃妃に追い込んで側室だった自分が王妃に昇格している。まさに、『シュルプ』の大妃は「張禧嬪タイプ」の成り上がりだったのだ。
そんな大妃のやり方に一時は怯(おび)えていたのがファリョン王妃であった。
「自分も廃妃にされるのではないか?」
そうした恐怖があったので、ファリョン王妃は廃妃になった「先王の王妃」をわざわざ訪ねて様々な教訓を知ることになった。
「負けるわけにはいかない」
ファリョン王妃はさらに大妃への対抗心を燃やした。
もちろん、大妃も常に王宮で自分が主導権を握るためにファリョン王妃を鋭く牽制していた。そのことを百も承知しているファリョン王妃は、表向きは大妃に礼を尽くしながら、内面では「大妃に絶対に弱みを握られてはいけない」と用心していた。
こうして壮絶な対決を繰り広げたファリョン王妃と大妃。演技に卓越したキム・ヘスとキム・ヘスクが演じると、とてつもない緊張感が生まれてドラマを覆う空気も張りつめていた。その演技対決もまた『シュルプ』の大きな見どころであった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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