『哲仁王后~俺がクイーン!?~』では、シン・ヘソンが演じる哲仁(チョリン)王后の身体に現代韓国の男性の魂が入り込んで物語が奔放に動いていくが、キム・ジョンヒョンが扮する朝鮮王朝25代王・哲宗(チョルジョン)も非常に興味深い人物として描かれている。その哲宗は史実で「無学で国王になって酒と女で身を滅ぼした」と言われている。
【関連】『哲仁王后』の序盤を賑わす哲宗はホントに「酒と女で身を滅ぼした」国王なのか
果たして、実際はどうだったのか。特に、女性問題にしぼって史実を調べてみよう。
『哲仁王后~俺がクイーン!?~』では、哲宗の側室として、ソル・イナが演じる宜嬪(ウィビン)・趙(チョ)氏が登場する。本名はチョ・ファジンとなっている。
しかし、「宜嬪」という尊称を見ても、架空の人物だとすぐにわかる。尊称の一部に「嬪(ピン)」を付けてもらえるのは、側室の中で正一品の品階を持っている女性だけだ。
しかも、正一品を受けるためには国王の息子を産まなければならない。つまり、王子の母になった側室でなければ原則的に「嬪」にはなれないのだ。しかし、チョ・ファジンは子供を産んでいないのに、宜嬪の尊称を受けている。これはありえない話なので、宜嬪・趙氏は架空の人物だとわかるのである。
それでは、実在した側室は誰だったのか。
記録を見ると、哲宗の側室になっているのは以下の4人だ。
●貴人・朴氏(キイン・パクシ/王子を1人産んでいる)
●貴人・趙氏(キイン・チョシ/王子を2人産んでいる)
●淑儀・方氏(スギ・パンシ/王子を1人産んでいる)
●淑儀・范氏(スギ・ポムシ/王女を1人産んでいる)
以上のようになっているが、貴人は従一品、淑儀は従二品を持った女性だ。
哲宗の時代に側室を4人持つというのは、平均的な人数かもしれない。朝鮮王朝の前期には側室を10人以上も抱える国王がいたが、哲宗が在位した朝鮮王朝終盤には国王が抱える側室は平均で3人前後だった。
しかし、哲宗の場合は、側室でない女官の中で何人もと関係を持っている。これは、他の国王には見られない傾向であり、それだけ哲宗は女性遍歴が派手だったということだ。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
■【写真】『哲仁王后』哲宗役キム・ジョンヒョン、実はこんなドラマにも出演していた!!
前へ
次へ