『哲仁王后』には「タイムスリップ+魂の入れ替え」を超えた歴史の醍醐味がある?

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テレビ東京で放送中の『哲仁王后~俺がクイーン⁉~』では、9月20日の第8話で哲仁(チョリン)王后がやりたい放題だった。

【写真】『哲仁王后』で王妃役シン・ヘソンが積んだキャリアがかなり興味深い!

宮女を総動員して池の水を満たすために夜中まで働かせるし、国王の哲宗(チョルジョン)に罵声を浴びせて追い返すし、水刺間(スラッカン/料理を作る厨房)に入り浸って我がもの顔にふるまっていた。

そこまで強気になれたのは、池の水を満たしたら飛び込んで現代に戻ろうとしたからだ。王宮にいる間はわずかなので、先のことを心配する必要もなかったのだ。

とはいえ、王宮では、哲仁王后が結婚式の前夜に自ら池に飛び込んで自害しようとしたことが大問題になっていた。

果たして、そのときの哲仁王后の精神状態はどうだったのか。

ドラマで描かれたのは、結婚式の前夜にまだキム・ソヨンだった哲仁王后が焦燥していた姿だ。

シン・ヘソンが演じている哲仁王后(写真=© STUDIO DRAGON CORPORATION)

巨大な黒幕

彼女は、自分が金(キム)一族の娘として国王と結婚させられることを悩んでいた。このときばかりは、主役のシン・ヘソンも、現代男性の魂が乗り移る前の清楚な姿を演じていた。

そして、キム・ソヨンは自分の運命を嘆いていたのだ。

彼女の悩みの元凶は、ペ・ジョンオクが演じる大王大妃(テワンテビ)だ。彼女は金一族の最長老であり、金一族が王宮を牛耳ることしか考えていない。その結果、哲宗を操り人形のように縛り付け、彼の妻に金一族の娘を押し付けようとしていたのである。

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© STUDIO DRAGON CORPORATION

いわば「生贄(いけにえ)」にされたのがキム・ソヨンであり、それに耐えきれずに彼女は身投げをはかったのか(真相はドラマの終盤にわかるようになるだろう)。

こうして見ると、『哲仁王后~俺がクイーン⁉~』というドラマで我がまま放題なのは、哲仁王后ではなく、大王大妃とその弟のキム・ジャグン(キム・テウが演じている)なのである。

この巨大な黒幕に対して、大統領官邸のシェフの魂が入り込んだ哲仁王后は、どのように挑んでいこうとするのか。そして、キム・ソヨンの悲しみは救われるのだろうか。

単純な「タイムスリップ+魂の入れ替え」だけでは語れない『哲仁王后~俺がクイーン⁉~』の奥深さ。それが、物語が進むごとに明らかになっていくだろう。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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