テレビ東京の韓流プレミアで4月18日に放送された『ヘチ 王座への道』の第14話は衝撃的な内容になっていた。
朝鮮王朝の世論を動かす力を持っていたタルムン(パク・フンが演じている)が市中に怪文書をばらまくのだが、なんと「淑嬪・崔氏(スクピン・チェシ)が国王の息子ではない子供を産んでいて、それが世弟(セジェ)だ」という内容だった。
つまり、世弟であるヨニングンは粛宗(スクチョン)の子供ではなく、淑嬪・崔氏が外でつくった子供というわけだ。
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まさに、衝撃的な怪文書をタルムンが市中にまいたわけだ。それが事実であれば、とてつもないスキャンダルになるのだが、なぜこんな風聞が生まれたのだろうか。
実は、粛宗の側室であった淑嬪・崔氏が国王以外の男の子供を宿したという話は、当時(17世紀初頭)にも流布(るふ)していた。
「ヨニングンは粛宗の子供ではない」
そんな噂が広まった理由には根拠があった。
まず、ヨニングンは粛宗に似ていなかった。張禧嬪(チャン・ヒビン)の息子であった景宗(キョンジョン)は粛宗によく似ていたのに、淑嬪・崔氏の子供だったヨニングンは先王にまったく似ていなかった。顔の相を見る専門家である観相師も、ヨニングンに関しては疑問を呈するほどであったという。
もちろん、真相は藪の中だ。しかし、淑嬪・崔氏はなにかと謎めいていた女性だった。
その淑嬪・崔氏といえば、人気ドラマの『トンイ』の主人公になったヒロインだ。ハン・ヒョジュがとても明るくハツラツと演じていたが、歴史的に言うと史実でスキャンダルが多かったことも事実である。
出自があまりに低かったから様々なことを言われてしまった側面があるとはいえ、彼女は『トンイ』で描かれたヒロイン像とかけはなれた部分もあった。
結局は、ドラマと史実を分けて考えたほうがいいかもしれない。
それにしても、「王子が本当は国王の子供ではなかった」という噂はドラマ以上に衝撃的だった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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