チョン・イルは、細かい感性を持った人物を演じるときに持ち味が生きる。そんな彼の表現力は、今までに数多くの時代劇で発揮されてきた。
たとえば、『美賊イルジメ伝』『太陽を抱く月』『夜警日誌』などでは時代劇らしい所作をうまく見せていたし、『ヘチ 王座への道』では苦悩に満ちた若き国王の心境を巧みに演じきっていた。また、最新作の『ポッサム―運命を盗む』でも引き出しが多い演技でドラマを盛り上げていた。
このように、継続的に時代劇に出演しているチョン・イルにぜひ演じてほしい国王がいる。果たして、その国王とは誰なのか。
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実は、18代王の顕宗(ヒョンジョン)なのである。
この国王は、どちらかというと地味なタイプだった。
息子の粛宗(スクチョン)は派手な女性遍歴が有名で、韓国時代劇の中でも特に出番が多い国王となっているが、父親の顕宗は逆に女性問題に悩まされることが皆無だった。それは、正室の明聖(ミョンソン)王后がとても勝ち気な人で、国王といえでも顕宗が側室を持つことに否定的な考え方を持っていたからだ。
結果的に、顕宗には側室が1人もいなかったと伝えられている。そんな国王は顕宗以外に他にいなかった。
といっても、顕宗にストーリー性がないわけではない。彼が統治していた1659年から1674年の15年間は官僚たちの派閥闘争が非常に激化していて、高官同士の権力争いによってさまざまな大事件が起きている。そうした史実を顕宗の立場から描いていけば、鮮明な悪役をキャストの中に多く登場させることができて、とても面白いストーリーになる。
もう一つの強みは、正室である明聖王后が時代劇のキャラクターとして申し分ないことだ。彼女は後に息子が寵愛していた張禧嬪(チャン・ヒビン)を王宮から追い出すほどやり手の王妃だった。同時に、女性禁制だった王朝の正式会議に頻繁に出てきて政治にも口を出していた。そんな明聖王后と顕宗の一風変わった夫婦愛もドラマ向きだ。
さらに、チョン・イルが繊細な感性で顕宗を抒情的に演じれば、きっと興味深い時代劇が作れるだろう。
韓国の有能なドラマプロデューサーが顕宗に目をつけてチョン・イルでキャスティングすることを願っている。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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