『王になった男』の中で、王のイ・ホンに対して激しい憎しみを持っていたのが大妃(テビ/王の母)だった。大妃は様々な工作でイ・ホンを毒殺しようとしたし、王の身分をはく奪しようと狙っていた。
それほど激しく恨んでいたのも当然のことだ。なぜなら、自分が産んだ王子を殺されているのだから……。
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ドラマの話を史実に置き換えてみよう。
『王になった男』のイ・ホンは15代王の光海君(クァンヘグン)のことであり、大妃は仁穆(インモク)王后のことだ。
仁穆王后は、光海君の父である宣祖(ソンジョ)の二番目の正室だ。1606年に宣祖の嫡男となる永昌大君(ヨンチャンデグン)を産んでいる。光海君は側室が産んだ庶子だったので、永昌大君は年下でも格は上だった。
宣祖は永昌大君を次の国王にしたい気持ちを持っていたが、1608年に亡くなってしまった。そのとき永昌大君は2歳だった。これでは王になることはできない。
こうして異母兄の光海君が15代王に即位した。その後に光海君は何をしたか。1614年に異母弟の永昌大君を殺してしまったのだ。それも、オンドルを異様に熱くさせて焼死させるという残忍な方法で……。我が子を殺された仁穆王后の恨みはあまりにも激しかった。
その後に仁穆王后は離宮に幽閉されてしまったのだが、光海君を廃位にする機会をずっと狙っていた。
1623年に、宣祖の孫となる仁祖(インジョ)が光海君を王宮から追い出して即位した。こうして仁穆王后は長年の恨みを晴らすことができたのだ。
それはあくまでも歴史上の話だ。ドラマの『王になった男』では、大妃が執拗に国王のイ・ホンを追い落とそうとしていたが、実際に王位に就いていたのは道化師のハソンだった。そのことを大妃がしばらく知らなかったことがさらに物語を複雑にしていた。
それでも、大妃は執念を燃やして王に対して我が子の仇を取ろうとしていた。そんな大妃の動向も物語を波乱に導いていた。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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