『トンイ』に登場する「掌楽院(チャンアゴン)」とは何か?

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現在、テレビ東京の韓流プレミアで時代劇の『トンイ』が毎朝放送されている。制作されて10年ほど経つ作品だが、人気の高さがうかがえる。

その『トンイ』の主要な舞台として登場するのが、王宮の音楽の演奏を担当する「掌楽院(チャンアゴン)」だ。

ドラマの前半では、主人公のトンイが「掌楽院」の下働きになっていた。彼女は誰からも愛されるキャラクターになっていた。それだけに「掌楽院」の出番が多いのだが、この組織について説明しよう。

王宮の中には政治や治安を担当する官庁がたくさんあって韓国時代劇によく出てくる。その他には、料理、衣装、絵画などを担当する専門集団が数多くいるが、その専門集団のひとつつが「掌楽院」だ。

この「掌楽院」は、王宮の中で演奏される国楽を担当する。

朝鮮王朝は従来から伝統音楽をとても大事にしており、儒教的な礼式を実施するときも「掌楽院」が重要な役割を果たしていた。

組織としては、トップの「提調(チェジョ)」を始めとして官僚として出世した人たちが事務面を統括していて、現場を仕切っていたのが「主簿(チュボ)」と呼ばれる責任者たちだ。
『トンイ』の中にもこの「主簿」がよく出てくる。

実際に演奏するのは楽士である。彼らが朝鮮王朝独特の楽器を巧みに使った。

たとえば、カヤグムなどの弦楽器、チャンゴなどの打楽器、各種の笛などの管楽器を使って「国楽」を奏でたのである。

彼らが特に重要な出番と考えていたのが「祭礼」と「宴礼」だ。

「祭礼」では国家の重要な儀式として即位式や葬儀などで楽士が立派に演奏したし、「宴礼」ではとても重要な宴会や外交使節団の接待などで華麗な演奏を披露した。

『トンイ』で主演したハン・ヒョジュ

こうした「掌楽院」で主人公のトンイは楽器を管理したり、譜面を揃えたりして、下働きとして大活躍したのである。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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