いよいよ後半となって佳境を迎えてきた『100日の郎君様』。
主演のド・ギョンスは、朝鮮王朝の世子(セジャ)としてのイ・ユル、そして、田舎で暮らすウォンドゥクとして2つの姿を見せている。
暗殺団に狙われて記憶喪失になったということで、ド・ギョンスが演じる役はガラリと変わったのだ。
ウォンドゥクとして田舎で暮らすときは、一般的な庶民の服装をしている。生活に密着した服装なので、地味で見栄えがしない。
しかし、彼はもともと朝鮮王朝の王族なのだ。王子としての服装はハッとさせられるくらい絵になっている。特に、ド・ギョンスが演じるイ・ユルが「笠(カッ)」をかぶっているときは本当にカッコいい。
この笠というのは、朝鮮王朝時代に身分が高い人たちがかぶっていた冠である。特に、重要な行事に出るときや外出するときに両班(ヤンバン)の人たちがよく重宝していた。
実は、朝鮮王朝時代の初期には高麗時代のものがそのまま残っていて、竹を細く割って笠が作られていた。
しかし、朝鮮王朝時代の中期になると素材がずいぶん変わってきた。馬の尾の毛を素材にするものが主流となったのだ。高級品になると、馬のたてがみが使われた。
基本的には細く切り取った竹を加えながら、馬のたてがみや尾の毛で編んでいき、さらに黒く塗って作られていた。
形を見ると、広いつばを持っているのが特徴で、真ん中の円筒は上にいくにしたがって細くなっている。
この円筒の形も時代によってかなり違っており、16世紀から17世紀にかけては円筒が高くなっていたが、18世紀になると円筒が徐々に低くなっていた。
そのように、笠の形を見れば時代がわかったのである。なお、笠には縛り紐が付いていて、笠をかぶる人はあごの下で縛り紐を締めて安定させていた。
ド・ギョンスは『100日の郎君様』で様々な姿を見せてくれるが、笠をかぶったときの彼はやっぱり素敵だ。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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