史実で読み解く『トンイ』⑯王子が生まれる時期はドラマと史実でどう違うのか

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テレビ東京の韓流プレミアで放送されている『トンイ』は、10月2日の第44話で悲しい出来事があった。トンイ(演者ハン・ヒョジュ)と粛宗(スクチョン/演者チ・ジニ)の間に生まれた王子が亡くなってしまったのだ。

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絶望的に悲しむトンイと粛宗。しかし、同じ回では新しく王子が生まれてクムと名付けられていた。このあたりの展開はめまぐるしかった。

ドラマでは、トンイの最初の王子が生まれたのは、張禧嬪(チャン・ヒビン/演者イ・ソヨン)が王妃から側室に降格して仁顕(イニョン)王后(演者パク・ハソン)が再び王妃に復帰した後であった。それが『トンイ』の描き方だったが、史実では事情が違ってくる。

仁顕王后の王妃復帰は1694年春であり、トンイこと淑嬪・崔氏(スクピン・チェシ)が最初の王子を産んだのは1693年秋なのだ。つまり、王子誕生は仁顕王后が王妃に復帰する半年前なのである。しかも、この王子はわずか2カ月ほどで早世してしまった。

あえて長生きするように永寿(ヨンス)と名付けられたのだが、結果はその逆になってしまった。

『トンイ』
ハン・ヒョジュが演じた主人公トンイ

ドラマと史実の違い

このように史実では仁顕王后が王妃に復帰する前に生まれている王子が、『トンイ』では王妃に復帰する後に生まれていた。結局、王子の誕生時期がドラマと史実では違っている。

『トンイ』は「時代劇の巨匠」イ・ビョンフン監督の傑作だが、この監督は歴史的な事実を時系列どおりにやらない傾向が強い。あくまでもドラマは創作物語として割り切っているからだろう。ちなみに、史実では1693年秋に最初の子を失った淑嬪・崔氏は、1694年秋に2人目の王子を産んでいる。

それが、『トンイ』第44話で描かれたクムであり、後の21代王・英祖(ヨンジョ)だ。この王子は82歳まで生きて、本当に淑嬪・崔氏の願いを叶えている。

ちなみに淑嬪・崔氏は1698年にも3番目の王子を産んでいる。しかし、この王子は生後すぐに亡くなってしまった。当時の淑嬪・崔氏の嘆きが聞こえてくるかのようだ。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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