『トンイ』の主人公が「朝鮮王朝で一番身分が低い側室だった」は本当か

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時代劇『トンイ』に登場する粛宗(スクチョン/演者チ・ジニ)は朝鮮王朝に27人いる国王の中で、非常に珍しい君主であった。それは何かと言うと、身分が高くない女性を王妃や側室にしたからである。

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通常、絶対君主である国王は威厳を保たなければならないので、良家出身の令嬢を王妃や側室にする。それが身分制度に厳しかった朝鮮王朝の掟でもあった。

実際、粛宗の最初の王妃は良家の出身だ。また、二番目の仁顕(イニョン)王后(演者パク・ハソン)も大変由緒ある高貴な令嬢である。このように名門出身の女性を妻にしていた粛宗だが、仁顕王后を1689年に廃妃(ペビ)にして新しく迎えた王妃が張禧嬪(チャン・ヒビン/演者イ・ソヨン)だった。

彼女は王宮の通訳官の親戚というコネを使って王宮に入ってきた女官。美貌に恵まれていたので粛宗に寵愛され、側室から王妃に昇格している。とはいえ、彼女のように女官から王妃になるというのは稀有なことだった。このあたりは粛宗の好みが反映していたかもしれない。

彼は名君と呼ばれても不思議がないほどの政治的な業績を成し遂げている。そのことに関して大変な自信を持っており、側室や王妃を選ぶ際に自分のわがままを通せる立場だった。

『トンイ』の粛宗
『トンイ』ではチ・ジニが粛宗を演じていた

厳しい身分制度を超越する国王

それゆえ、しきたりにこだわらず張禧嬪を王妃に昇格させたとも言える。実際、重臣たちから大変な反対があったのだが、それを完全に押し切っている。

その張禧嬪が王妃になって傲慢になり、嫌気がさした粛宗が次に側室にしたのが淑嬪・崔氏(スクピン・チェシ)だ。時代劇『トンイ』でハン・ヒョジュが演じているトンイのモデルである。

この淑嬪・崔氏はもともと王宮の水を運ぶムスリ(雑役をする人)であったと伝えられている。ムスリといえば最下層の身分の賤民(チョンミン)と同様だ。

国王と会うことなど絶対にできない立場なのだが、どういうわけか粛宗はムスリを寵愛して側室にした。1693年の秋には王子が生まれているのだが早世してしまい、1694年に生まれたのが後の英祖(ヨンジョ)であった。

この英祖は国王になった後で、母親があまりにも身分が低かったことを大変気にしていた。それも粛宗が身分の低い女性を側室にしたことがきっかけになっていた。そういう意味で、粛宗はむしろ厳しい身分制度を超越する国王であったかもしれない。

文=康 熙奉(カン・ヒボン) 

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