実は人気観光スポットの近くや街中に博物館・美術館が点在しているソウル。歴史的建造物を現代風にリニューアルされている施設も多く、おしゃれスポットと話題の場所でもある。今回は個人的に筆者が気になっている美術館&博物館を紹介していきたいと思う。
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【おすすめの美術館】
▼国立現代美術館 ソウル館
景福宮の建春門から道を挟んで東側に位置する「国立現代美術館 ソウル館」。ソウル館は2013年に開館した。建物の高さを12m以下に抑えて、景福宮や昌徳宮など周囲の歴史的建造物と調和するよう設計されている。「マダン(中庭・広場)」の概念を取り入れ、建物の内外が有機的につながる開放的な造りも特徴だ。
国立現代美術館自体は1969年に設立され、果川館・徳寿宮館・清州館とあわせて4館体制。そのなかでもソウル館は、同時代のアートや韓国の若手アーティストに焦点をあてた展示を行っている。写真や絵画にとどまらず、映像、工芸、メディアアート、大型インスタレーションなど、多彩な作品が発表されているのも注目ポイント。美術館のほかにも映画館やメディアラボ、マルチプロジェクトホール、カフェなども併設されており、観光客にとっても過ごしやすい複合文化空間だ。
▼リウム美術館
世界的企業サムスングループが運営する私設美術館。ソウル・梨泰院エリアに位置し、地下鉄漢江鎮駅から徒歩でアクセスできる立地の良さが魅力。館内は、韓国の古美術を収蔵する「MUSEUM 1」と、世界の現代美術を展示する「MUSEUM 2」の二つに分かれている。常設展は無料で観覧できるのが嬉しい。企画展は有料チケット制だ。
「MUSEUM 1」はスイスの建築家マリオ・ボッタが設計。韓国陶磁器をモチーフにしたテラコッタの外観やらせん状に降りていく内部構造が特徴的である。先史時代から朝鮮時代に至る国宝・宝物級の陶磁器や絵画など約120点が展示されている。「MUSEUM 2」は世界的建築家ジャン・ヌーベルによる設計で、1910年以降の韓国現代美術や1950年代以降の世界のモダンアート約70点を収蔵。展示作品は半年ごとに入れ替えが行われているそうだ。
▼アモーレパシフィック美術館
ソウル・龍山(ヨンサン)のランドマークとして注目されるアモーレパシフィック本社。その新社屋1階にあるのが「アモーレパシフィック美術館(APMA)」だ。白磁をモチーフに設計された建物の中に誕生し、創業者・故ソ・ソンファン会長が収集した美術品を基盤として、1979年に太平洋博物館として始まり2009年に改称、2018年に本社移転とともにリニューアルオープンした。
地下1階の展示室では、古美術と現代美術を融合させた多彩な企画展を開催。地上1~3階まで吹き抜けの「アトリウム」1階には、ロビーやミュージアムショップ、展示スペース「APMAキャビネット」、世界各地の展覧会図録を集めた専門ライブラリー「apLAP(Amorepacific Library of Art Project)」が併設されている。アートと建築が調和した空間で、韓国の伝統と現代をつなぐ芸術の魅力を体感できる美術館だ。
▼D MUSEUM
建設業で有名な大林(デリム)グループの文化財団が運営する、2015年に誕生した現代アート美術館。梨泰院近くの漢南洞でスタートし、2022年にはソウルの人気エリア・聖水洞(ソンスドン)の「アクロソウルフォレストDタワー」地下1階に移転オープンした。SMエンターテインメントのショップ「KWANGYA」と同じフロアにあるので、アート好きのPink blood(SMエンタアーティストのオタク)にぴったりの施設だろう。
「日常がアートになる美術館」をコンセプトに掲げ、年に2~4回の企画展を開催。著名アーティストの展示に加えて、若手や注目のアーティストを紹介するテーマ展にも力を入れている。ソウルの森エリアを訪れる際にはぜひチェックしてみてほしい。
【おすすめの博物館】
▼国立中央博物館
ソウルの龍山(ヨンサン)エリア、地下鉄二村(イチョン)駅近くにある韓国を代表する博物館。国宝約60点、宝物約80点を含む膨大な所蔵品を有する。展示は旧石器時代から朝鮮王朝時代まで、韓国の歴史や文化を網羅。アジア各地の出土品や文化財も展示され、常設展示館には約9,800点の遺物が並んでいる。展示物は定期的に入れ替えが行われているそう。
館内は7つの常設展示館に加え、特別展示館や体験型の子ども博物館、展示解説プログラム、先端技術を活用したデジタルコンテンツなども。所蔵品の保存や学術調査研究などにも力を入れている。2021年にはグローバルボーイズグループのBTSがソウル市とコラボした映像「EoGiYeongCha(オギヨンチャ)」の撮影地となり、ファンの注目を集めた。
カフェやアート関連グッズなどを販売するショップも併設されている場所も多い。何度も韓国を訪れている方は、洗練された美や歴史に触れてみる機会を持つのもいいかもしれない。
▼ソウル工芸美術館
人気観光エリア・仁寺洞(インサドン)や三清洞(サムチョンドン)の玄関口、地下鉄3号線・安国(アングッ)駅すぐにある2021年7月に開館した韓国初の公立工芸博物館。韓国の伝統から現代まで幅広い工芸文化を紹介している施設だ。
もともと1945年創立の「豊文女子高等学校」があった敷地。学校の江南移転に伴い、ソウル市が土地を買い取って校舎5棟をリノベーションして博物館として生まれ変わった場所。館内では、朝鮮時代の刺繍やポジャギ、陶磁器、李朝家具、木工芸品などの伝統工芸から現代的なアート作品まで約2万点以上を収蔵・展示している。併設のカフェや記念品ショップもあり、観光の合間に気軽に立ち寄れるスポットだ。
(文=豊田 祥子)
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