韓国ドラマで人気ジャンルとなっている時代劇。その持ち味は第1話の導入部でストーリーが波乱万丈に描かれることだ。驚くような話がどんどん出てきて、一気に物語が佳境に入っていく。そんな時代劇の中で特に第1話が面白いドラマを5本集めてみた。
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●『恋慕』(2021年)
俳優名(演じた役名)/パク・ウンビン(イ・フィ/タミ)、ロウン(チョン・ジウン)、ナム・ユンス(イ・ヒョン)、チェ・ビョンチャン(キム・ガオン)
〔第1話のここが凄い!〕王宮で歓迎されない双子が世子嬪(セジャビン/世子の妻)から生まれて、数奇な運命をたどる過程が描かれていく。女児は王宮から出されてしまい、男児のほうが世孫のイ・フィとなる。やがて女児は宮女タミとなるが、結局は殺されてしまう。しかし、実は死んだのはタミに変装していたイ・フィだった。こうして、本当のタミはイ・フィに成り代わって世子として成長していく。そんな主人公イ・フィをパク・ウンビンが繊細に演じていた。
●『オク氏夫人伝 -偽りの身分 真実の人生-』(2024~2025年)
俳優名(演じた役名)/イム・ジヨン(クドク/オク・テヨン)、チュ・ヨンウ(ソン・ソイン/チョン・スンフィ)、キム・ジェウォン(ソン・ドギョム)、ヨヌ(チャ・ミリョン)
〔第1話のここが凄い!〕奴婢のクドクは主人となる悪徳な両班から徹底的に虐待されていた。あまりにひどいので、父親と一緒に逃げ出した。その後に劇的な出会いがあった。世話になっていた宿屋で、名門一家の令嬢オク・テヨンと知り合ったのだ。しかし、宿屋が盗賊に襲われて、オク・テヨンが死んでしまった。そこまでが第1話で描かれるが、本当に凄まじい展開だった。その後、クドクはオク・テヨンとして生まれ変わり、外知部(ウェジブ/被告人の弁護人)として才能を発揮していく。
●『ポッサム~愛と運命を盗んだ男~』(2021年)
俳優名(演じた役名)/チョン・イル(バウ=キム・デソク)、クォン・ユリ(ファイン翁主=スギョン)、シン・ヒョンス(イ・デヨプ)、シン・ドンミ(チョ尚宮)
〔第1話のここが凄い!〕主人公のバウは「ポッサム」という寡婦を善意で誘拐する仕事をしていた。ところが、夫を亡くしていたファイン翁主を間違えて「ポッサム」してしまう。それからだ大変だ。彼女の義父である高官は、ファイン翁主の失踪を隠すために死んだことにして葬儀まで行ってしまう。こうして行き場がなくなったファイン翁主をバウが面倒みることになった。それにしても、ファイン翁主を演じるクォン・ユリの演技力がとても良かった。苦境の中で凛とした姿を美しく見せていた。
●『哲仁王后~俺がクイーン⁉~』(2020~2021年)
俳優名(演じた役名)/シン・ヘソン(キム・ソヨン/哲仁王后)、キム・ジョンヒョン(哲宗)、ペ・ジョンオク(純元王后)、キム・テウ(キム・ジャグン)
〔第1話のここが凄い!〕大統領官邸で働く有能なシェフが、仲間に裏切られてしまい刑事に追跡される。あわてて逃げている途中でシェフはプールに落下。それで苦悶していると、いつのまにか朝鮮王朝時代の王宮で王妃に成り代わってしまう。ビックリしたシェフは王妃として王宮の中を逃げまくる。必死に追いかける宮女たち……その騒動が、お腹のよじれるほど大いに笑える。かくして武骨な態度を見せる王妃が王宮をどんどん支配していく。
●『王になった男』(2019年)
出演者(演じた役名)/ヨ・ジング(ハソン/イ・ホン)、イ・セヨン(ユ・ソウン)、キム・サンギョン(イ・ギュ)、クォン・ヘヒョ(シン・チス)
〔第1話のここが凄い!〕序盤は、国王イ・ホンが精神的に追い詰められていた場面から始まる。王宮は混乱してばかりだ。心配した側近のイ・ギュは、町でイ・ホンにそっくりな道化師ハソンを見つけ、国王の影武者にさせようと試みた。しかし、ハソンは逃げ出してしまうのだが、世の中を変えたいと考えを改め、国王の身代わりになることを決意する。その後、王座に就いたハソンの行動力が頼もしかった。彼は、閉塞状況だった政治を劇的に変えようと全力を尽くしていく。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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