イ・ビョンホン主演の映画『王になった男』をドラマ化した本作は、朝鮮王朝の史実をベースにしながら意表を突く要素も加わって、とても面白いストーリーに仕上がっている。
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主役のヨ・ジングは国王と道化師の二役を演じた。まったく違う性格の人物を並行して演じるには相当な演技力が必要だが、彼はあたかも別人がそれぞれの役に扮したかのように演じ分けた。
それが可能だったのも、緊張感とリラックスを巧みに使い分ける演技ができたからだ。実際、ヨ・ジングは俳優としての引き出しが多いのが強みであり、その良さが『王になった男』でも存分に生きていた。
ストーリーを見てみよう。
国王のイ・ホン(ヨ・ジング)は弟を殺して自分の王位を安定させていたが、精神的に追い詰められていた。そのことをとても心配していた側近のイ・ギュ(キム・サンギョン)は、町でイ・ホンにそっくりな男を見かける。それが道化師のハソンだ。イ・ギュは、ハソンを王宮につれてくる。国王の影武者をさせるためだった。
ハソンは一度逃げ出してしまうのだが、世の中を変えたいと思って国王の身代わりになることを決意する。そこで、イ・ギュは政務ができないないほど錯乱していたイ・ホンを隔離して、ハソンを本物の王座に就かせた。
かつての国王は冷酷だったので、王妃(イ・セヨン)は心を閉ざしていたが、ハソンが国王になって王妃に優しく接した。こうして王妃は、国王に対して心を徐々に開いていく。さらに、ハソンは庶民の幸せのために今までと違う政治を行おうとしたのだが……。
こんな展開でドラマはスピーディーに進んでいく。歴史のエピソードをうまく取り入れていて、とても見応えがある本格時代劇になっている。王妃を演じるイ・セヨンの情緒がある演技もとても良かった。
〔『王になった男』ドラマ概要〕
制作/tvN、2019年
配信/U-NEXT
演出/キム・ヒウォン
脚本/キム・ソンドク、シン・ハウン
出演者(演じた役名)/ヨ・ジング(ハソン/イ・ホン)、イ・セヨン(ユ・ソウン)、キム・サンギョン(イ・ギュ)、クォン・ヘヒョ(シン・チス)
文=康 熙奉(カン ヒボン)
作家。1954年東京・向島で生まれる。韓国の歴史・文化・韓流や日韓関係を描いた著作が多い。『知れば知るほど面白い 朝鮮王朝の歴史と人物』を含めた朝鮮王朝三部作は70万部を超えるベストセラーとなった。最新刊は『朝鮮王朝「背徳の王宮」』。
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