『赤い袖先』で悩めるイ・サンに扮したイ・ジュノの演技はどのように報われたのか

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大ヒットした時代劇『赤い袖先』は、後半に入るとイ・ジュノが政治改革に取り組むイ・サンの姿を堂々と演じていた。彼は本当に研究熱心だ。

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ドラマの前半でイ・サンは世孫(セソン/国王の正式な後継者となる孫)という立場であったが、イ・ジュノはイ・サンの歴史的な背景をしっかりと資料で学んでいた。演じる役の存在感が強烈であればあるほど、その輪郭をしっかりと捉えておきたかったからだ。

それは、自分が演じるイ・サンだけにとどまらない。イ・サンの祖父の英祖(ヨンジョ)と父の思悼(サド)世子のことも徹底的に調べており、実在した彼らの人物像を頭の中で的確にイメージできるようにしていた。このように、演じる際の準備も万全だった。

全体的に見れば、イ・ジュノの緊張感がヒシヒシと感じられる演技もあった。とはいえ、それは決してマイナスではない。むしろ、イ・サンの情のこまやかさをしみじみと表わす効果も生んでいた。演じるうえで「繊細すぎること」はプラスなのである。

ヒロインのソン・ドギムを演じたイ・セヨンとの相性はどうであったか。イ・ジュノとしても、素直に呼吸を合わせることができたという。そのおかげで、自分の役割に徹底的に没入することが可能となった。これはとても大事なことだ。

『赤い袖先』ではイ・ジュノがイ・サンを演じた(NBCユニバーサル・エンターテイメント/©2021MBC)

K-POP出身の俳優

撮影が進んでいくと、様々な雑念が浮かんでくるのが常だが、イ・ジュノとイ・セヨンは相性がとても良かったことで、国王と宮女の究極的な愛を集中して演じることができるようになった。イ・ジュノもさぞかし演技上の手応えを感じていたことだろう。

それでも、困難をともなうシーンがあった。ソン・ドギムがイ・サンの愛情を最初は受け入れない場面がそうだ。こういうとき、イ・ジュノは自分の感情を客観視できるような仕草でイ・サンの許容度を表わしたという。

イ・ジュノは『赤い袖先』の演技によって、2022年百想芸術大賞・テレビ部門で最優秀演技賞を獲得した。K-POP出身の俳優がこの最優秀演技賞の栄誉に輝くのは初めて。イ・ジュノの演技上の苦悩は最高の形で報われたのであった。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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