テレビ東京の韓流プレミアで放送中の『イ・サン』では、8月16日の第66話で緊迫した場面が連続して登場していた。ハン・サンジンが演じる洪国栄(ホン・グギョン)が孝懿(ヒョイ)王后を毒殺しようとした事件が描かれていて、ついに洪国栄が自ら罪を自白したのであった。
【ドラマ解説】イ・サンとチャン・テウの対決!新旧の力闘争と時代の転換点
これはイ・サンにとってどれほど辛かったことであろうか。一番信頼していた側近がこともあろうに王妃を亡き者にしようと企んでいたとは……。イ・サンが受けた衝撃はあまりに大きかった。絶対に洪国栄を信じ抜こうと心に誓っていたのに、結局は洪国栄から裏切られることになった。イ・サンとしても、もはや人間が信じられなくなるような出来事だった。
今回の事件で徹底した捜査を行なうことを自ら申し出たのがチャン・テウだ。高官である彼がこの事件を捜査する必要はなかったのだが、それでもぜひやらなければならなかった。それは怨念を晴らすためであった。
かつて洪国栄はチャン・テウを目の敵にして、大罪をでっちあげて投獄までしている。この時に受けたチャン・テウの屈辱は尋常ではなかった。しかも、洪国栄はチャン・テウに対して極端に無礼な態度をずっと続けていた。
自尊心の強い朝鮮王朝時代の高官が、年下の部下にここまで愚弄されてしまっては、心がズタズタになる。そんなひどい扱いをしてきた洪国栄が、今度は大逆罪を犯して罪人となった。この場においてこそ、チャン・テウは今までの怨みをそっくり返さなければならない。そこで彼は自らチャン・テウを尋問し、拷問にかけたのである。
権力は移ろいやすいものだ。その時に絶頂の権力を持っていたとしても、それは長続きしない。その権力の恐ろしさを知り抜いているチャン・テウは、今まさに権力の絶頂にあった洪国栄に対して復讐を遂げたのである。
そんなチャン・テウを演じたのが重鎮俳優のイ・ジェヨンだ。数々の時代劇で朝鮮王朝時代の高官に扮して重厚な演技を続けてきたイ・ジェヨンは、『イ・サン』でも深みのある演技を見せてくれた。
文=大地 康
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