『紳士とお嬢さん』はテレビ東京・韓流プレミアでの放送が5月16日に終わったのだが、それ以降も配信中のNetflixでランキング首位を長く維持していた。なぜこれほど多くの視聴者の心を捉えたのか。人気の秘訣をさぐってみよう。
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そもそも『紳士とお嬢さん』は、主人公のヨングク(チ・ヒョヌ)とパク・ダンダン(イ・セヒ)の「年の差」を超えた恋愛がテーマになっていた。
ヨングクは大会社の会長を務める41歳の男。妻に先立たれて3人の子供の教育問題で悩んでいた。そこで住み込みの家庭教師を募集することになり応募してきたのが27歳のダンダンだった。
紆余曲折を乗り越えて2人は交際を始めるのだが、途端にドラマは思わぬ展開にはまりこんでいく。その際に起こるのは「突然の記憶喪失」「入り組んだ出生の秘密」「悪女の縦横無尽のふるまい」などだ。まさに「韓ドラあるある」を象徴するベタなキーワードが次から次へと生まれてくる。
現実的には「ありえない出来事」のオンパレードなのだが、見る度にドラマに引き込まれてしまう。何よりも、登場するキャラが興味深い。
ダンダンの父親でまじめ過ぎる堅物のスチョル(イ・ジョンウォン)、ダンダンの継母でいつも金に目がくらむヨンシル(オ・ヒョンギョン)、ヨングクとの婚約を偽装したサラ(パク・ハナ)、ダンダンの本当の母親のエナ(イ・イルファ)、嘘と虚飾にまみれた悪女のワン・デラン(チャ・ファヨン)……など、本当に「エッー⁉」と思うような人物が次から次へと出てくる。
結局、「多くの視聴者が望んでいるドラマは何なのか」ということを『紳士とお嬢さん』は端的に示してくれるのだ。
それは、痛快な登場人物がたくさん出てきて、かつての韓国ドラマを彷彿させるようなベタな展開で物語を大いに賑わせてくれるということ。ドラマは娯楽の最たるものであり、深刻に考えないで底抜けに楽しめる作品が人気を集めるということなのだ。そんなドラマが『紳士とお嬢さん』なのである。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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