最近は韓国時代劇に興味を持った人から「絶対に推しのドラマを教えてください」と言われることが多い。その際によく取り上げるのが『100日の郎君様』だ。
【関連】『100日の郎君様』の胸♥キュン「愛の名場面」はこれだ!!
このドラマにはとても愛着がある。なぜならば、ド・ギョンスとナム・ジヒョンが演じた夫婦の役が、特別な「魅惑カップル」として大好きだからだ。
もちろん、韓国時代劇には主役の男女が演じた印象的な夫婦がたくさん出てくるけれど、その中でも『100日の郎君様』の夫婦には本当に惹かれる。まさに理想の夫婦像と言える。
ドラマの中でド・ギョンスは当初イ・ユルという世子(セジャ)を演じていたのだが、悪徳高官によって暗殺されそうになり記憶喪失に陥ってしまう。運良く村人に助けられて、イ・ユルはウォンドゥクという農民として生き返ることになった。その際に妻となったのがナム・ジヒョンの演じるホンシムだ。
ウォンドゥクはもともと世子として王宮で贅沢な暮らしをしていたので、農民になっても役に立たない。薪を割ることもできなければ鎌で草を刈ることもできない。そのくせ世子として生きていた習慣でお金もないのに高価なものをどんどん買って借金を作ってしまう。
こんな事態に呆れたのがホンシムだ。ついに役場に行って「うちの亭主はウスノロなので借金を棒引きにしてほしい」と訴え出た。とはいえ、ホンシムは悪妻ではない。それどころか良妻の鑑だ。愛嬌があって何でもできる有能な妻。それだけに、夫の無能ぶりに我慢ができなくなったのだ。
こうしてウォンドゥクとホンシムは典型的な「ダメ亭主と賢い妻」になるのだが、ドラマが進むにつれてホンシムの愛情が前面に出てきて痛快度が増していく。しかも、ウォンドゥクは決して無能ではなかった。
村人がびっくりするほど教養が高くて武術に優れている。つまり、ここで逆転現象が起きる。ホンシムがあれほど「亭主はウスノロ」と言っていたのに、ウォンドゥクがとてつもない才能を持った人間であることが分かってくるのだ。
物語の後半になると、記憶を失っていたウォンドゥクが世子として王宮に戻っていくことになり、夫婦は離れ離れになってしまう。この時の2人の切なさを考えると胸が締め付けられる。果たして、夫婦の哀しみは癒されるのか。
かくして韓国時代劇で「最高の夫婦カップル」を選ぶとすれば、間違いなくウォンドゥクとホンシムを選びたくなる。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
■【関連】『100日の郎君様』を昇華させたド・ギョンスの「3つの表現」とは?
前へ
次へ