あの、ゾクゾクするような存在感はどこから生まれてくるのか。映画館のスクリーンに映るIU(イ・ジウン)を見ていて、率直にそう思った。
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彼女が『ベイビー・ブローカー』で演じた役は、ベイビー・ボックスの前に我が子を置いてくるような母親だった。
そんな母親が、自分の子供を金で引き取りにきた夫婦を前に、恐ろしい剣幕で罵詈雑言を浴びせた。夫婦の要求が理不尽すぎたからだが、その怒りの迫力が凄まじかった。
IU(イ・ジウン)の演技をたくさん見てきたが、感情の沸点が突き抜けた場面を初めて見た。そして、素直に思った……表現の天才だ、と。
この場合の「表現」は、歌、演技、ファンと接する場面、インタビューを受ける場面などのすべてを総括している。つまり、私たちが目にする場面の一つひとつでIU(イ・ジウン)は稀有な表現力を見せてくれる。
そう考えるに至ったとき、真っ先に思い浮かべたのが『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん』の序盤だった。
このドラマでIU(イ・ジウン)は、薄幸のヒロインのジアンを演じた。彼女は父親が遺した借金に苦しめられ、障がいを持つ祖母を扶養していた。
その日常生活が『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん』の序盤で延々と描写されるのだが、見ていてあまりにいたたまれなくなって、ついに序盤でドラマから離脱してしまった。
そうすれば、『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん』のことは忘れて暗く重い場面も頭に浮かんでこないと思ったら、そんなわけではなかった。IU(イ・ジウン)が演じるジアンが職場や電車の中で不愛想にしている姿がしきりに甦ってきたのだ。
それが気になって『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん』の視聴に復帰したら、その後に完全にはまって最後まで信じられないほどドラマに夢中になっていった。
結局、『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん』で視聴開始・離脱・視聴復帰・陶酔といった流れを完全に支配していたのは、IU(イ・ジウン)が示してくれた強烈な表現力だった。
それは『ベイビー・ブローカー』に引き継がれて、まさに今、スクリーンの中でゾクゾクさせられてしまった。とてつもない存在感だ。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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