NHKのBSプレミアムで毎週日曜日に放送されている『王女ピョンガン 月が浮かぶ川』は、3月13日の第19話で大きな変化があった。
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それは、キム・ソヒョンが演じるピョンガン王女の父である平原王(ピョンウォンワン)が世を去っていて、太子だったウォンが新しい国王の嬰陽王(ヨンヤンワン)になっていたことだ。
歴史的な事実と照らし合わせると、平原王が亡くなったのは590年であった。
彼は560年に即位しているので、在位は30年間に及んでいた。当時としては長期政権であったと言える。
『王女ピョンガン 月が浮かぶ川』の中では平原王は凡庸な国王として描かれていたのだが、実際はどうだったのか。
有名な史書『三国史記』によると、平原王はなかなかの名君だった。中国への朝貢をひんぱんに行なって国土の安泰を実現させており、内政面では干ばつ対策に力を入れていた。庶民が困窮しているときは国王自ら食膳に並ぶおかずの品数を減らし、雨ごいの祈祷も熱心に行なっていた。
また、平原王は各地を巡行して苦しむ庶民を慰労し、救済する政策を行なっていった。さらに、産業の振興にも努めていた。そうした真摯な姿が『三国史記』では書かれている。それだけに、『王女ピョンガン 月が浮かぶ川』での平原王はフィクションの要素が多いと考えたほうがよさそうだ。
その平原王を引き継いだ嬰陽王は、平原王の長男で本名は元(ウォン)と言う。
590年から始まった彼の統治は多難だった。中国との関係がとても難しくなっていたし、新羅(シルラ)との領土紛争が激化していたからだ。
その新羅を率いていたのは真平王(チンピョンワン)であり、この王は『三国史記』では「識見に優れていて聡明であった」と記されている。高句麗にとって手ごわい相手だったのだ。
結局、『王女ピョンガン 月が浮かぶ川』のモチーフになった歴史エピソード「ピョンガン王女と馬鹿のオン・ダルの物語」では、新羅に奪われた土地を取り戻しに行ったオン・ダルが戦死するという結末になっていた。
その逸話は『王女ピョンガン 月が浮かぶ川』ではどのように取り入れられていくのだろうか。ドラマの終盤が本当に気になる。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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