キム・ソヒョンとナ・イヌが主演している『王女ピョンガン 月が浮かぶ川』は、韓国であまりに有名な逸話「ピョンガン王女と馬鹿のオン・ダル」をモチーフにしている。
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同ドラマの前半はこのモチーフがストーリーにあまり反映されていなかったが、中盤になって状況が変わってきた。
たとえば、逸話の以下の部分がドラマの中に生かされるようになった。
「ピョンガン王女は目が見えない母親を抱えているオン・ダルの元に押しかけ女房としてやってきた」
「ピョンガン王女は持参金でオン・ダルに『痩せた馬を買ってください。そのほうが安く手に入れることができますから。そして、きちんと育てれば立派な馬になるでしょう』と言った」
「ピョンガン王女に支えられたオン・ダルは戦乱で武功をあげて国王から大いに称賛された」
まさに、ここで取り上げた逸話の部分は『王女ピョンガン 月が浮かぶ川』の中盤でどんどん実現するようになった。
こうなると、ドラマで見違えるように変わってきたのがオン・ダル自身だった。
彼は最高の内助の功を得て、自信を持って難しいことにチャレンジできるようになった。もはや、かつてのように周囲から「馬鹿のオン・ダル」と蔑(さげす)まれることもなくなった。それどころか、英雄として大いに絶賛されていた。
実際、オン・ダルを演じているナ・イヌも堂々たる演技を披露するようになった。彼はドラマの途中から前任者の降板によってオン・ダルの役に取り組んだのだが、もはや代打とは言えない貫禄を見せていた。
とにかく、剣術のシーンにおけるナ・イヌのアクションは抜群の動きだった。もともとセンスがいい俳優なのだが、大役にも臆せず自分の役割に徹していた。
こうなると、終盤に向けてオン・ダルの英雄物語がどう変わっていくのかが気になってくる。彼は真に高句麗の領土を守る守護神になっていくだろうが、そうした展開の中でナ・イヌの鬼気迫る演技にも大いに注目したい。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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