NHK・BSプレミアムで放送されている『王女ピョンガン 月が浮かぶ川』(全22話)は、2月27日で第17話が終わり、いよいよ終盤の佳境を迎えるに至った。
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悪徳高官のコ・ウォンピョ(イ・ヘヨン)との対決にピョンガン王女(キム・ソヒョン)は心血を注いでいくが、彼女にとって最大の敵はその後に控えている。それが、高句麗(コグリョ)と激しく対峙している新羅(シルラ)なのである。
『王女ピョンガン 月が浮かぶ川』が描いているのは「560年代と570年代」である。この時代の勢力図がどうなっていたかというと、朝鮮半島の南東部を統治していた新羅の真興(チヌン)王の全盛期であった。
この真興王は、『花郎(ファラン) 希望の勇者たち』でパク・ヒョンシクが演じていた国王だ。540年に6歳で即位した後、成人してから国王として成果を挙げて新羅を強国に導いていった。
一方、同時期に高句麗を率いていたのが平原(ピョンウォン)王である。彼は559年に即位したあと、中国との関係を強化しながら国土の安定をはかっていった。
『王女ピョンガン 月が浮かぶ川』では平原王が疑い深い愚鈍な王のように描かれているが、これはピョンガン王女の才覚を強調するためにあえて平原王を「ダメな国王」に設定した影響かもしれない。
いずれにしても、平原王が即位してから新羅との対決は避けられない情勢になっていき、それだけピョンガン王女の活躍の場が広がっていく。
対する真興王は、容姿が整った若者たちを選抜して学問と武芸を磨かせた。彼らはやがて「花郎」という集団となり、新羅の国力を向上させる原動力となった。その経緯はパク・ソジュンとパク・ヒョンシクがダブル主演した『花郎 希望の勇者たち』で描かれた通りである。
韓国の時代劇というと、朝鮮王朝を舞台にした宮廷劇が多いが、その一方で古代を描いていくと、とたんにスケールがとても大きくなる。激しい領土争いがメインになっていくからだ。そういう意味で、『王女ピョンガン 月が浮かぶ川』もクライマックスに向けて領土を奪い合う対決が熾烈になっていくだろう。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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