チェ・ウシクとキム・ダミが主演した『その年、私たちは』は、すべてを見終わったあとでも心地よい余韻が残るドラマであった。高校時代から10年間という瑞々しい時期を抒情的に描いたノスタルジックなストーリーとしても、今後何年にわたって心のメモリーに記憶される名作だ。
【写真】『その年、私たちは』の演技で魅せるキム・ダミの美しさ
なんといっても、ドラマの設定がすばらしい。高校時代に学年トップのヨンス(キム・ダミ)とビリのチェ・ウン(チェ・ウシク)の学園ドキュメンタリーを作るという物語が10年後にも引き継がれていく展開が興味深い。そして、2人の愛と別離がそれぞれの立場から描かれ、現在になって再び愛が復活していくプロセスが見る人をワクワクさせてくれる。
それにしても、いがみあってばかりいた2人がどんな心境の変化で恋に落ちたのか。さらには、愛の熱中時代になぜ別れなければならなかったのか。その経緯が物語の進行にともなって徐々に明らかになっていき、そこで語られるエピソードが視聴者を釘付けにしていた。
そうした一連のストーリーの中で、最も印象的なシーンとなった場面はどこなのか。
それは、見る人によって違うだろうが、ここで最も強調したいのが第11話の終盤の場面だった。
事情があってチェ・ウンが勝手に雲隠れしてあとで、ヨンスがようやくチェ・ウンを探し当てたシーンだ。
そのとき、チェ・ウンは1人で焼酎を飲んでいた。それから、ヨンスが前に座り、一緒に盃を交わすようになった。2人の前では鍋が湯気を立てている。
チェ・ウンはヨンスに向かって切実に「サランヘジョ(愛してくれ)」と何度も呼び掛けた。そして、「お願いだから」と付け加えた。
演じたチェ・ウシクの表情に引き込まれた。まさに魂が込められたセリフだ。
最初は自分でも言いたいことがたくさんあったヨンスも、チェ・ウンの心の叫びに感情をつかまれ、あとはジッとチェ・ウンの言葉を聞き、最後は嗚咽するほどに感極まっていた。
わずか数分間のシーンであったが、余韻が尽きることがなかった。
まさに、青春ドラマの珠玉の名場面として、これからも多くの人の心に最高の記憶を残してくれることだろう。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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