韓国では朝鮮王朝を描いた時代劇の人気が高く、国王や王妃を巻き込んだ宮廷劇の新作が次々に作られている。昨年11月から年初にかけて韓国MBCで放送された2PMジュノ主演の『赤い袖先』も、視聴者を釘付けにして社会的なブームまで巻き起こしている。
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そうした人気時代劇に登場する国王や王妃や側室は、高貴な身分ということで尊敬と憧憬を受けるのだが、裏に回ると、あまりに人間的な欲望によって悲劇的な人生を歩まざるをえなくなる。
ドラマはそうした王朝の物語をスリリングに描いていくが、史実に基づいて王朝の裏に潜む人間模様を拾い出しているのが、康煕奉(カン・ヒボン)著の『新版 知れば知るほど面白い 朝鮮王朝の歴史と人物』(実業之日本社)である。
本書で数多く紹介されている国王の失態が興味深い。
最高権力者といっても、所詮は1人の人間である。しかも、世襲によって、ふさわしくない人格と能力の後継ぎが国王になってしまう。そんなダメ男が最大の権力を握ったときにかぎって、国政は乱れ、王宮は混乱に陥り、信じられない大事件が起こる。たとえば、世継ぎが米びつに閉じ込められて餓死したり、酒池肉林に溺れた暴君がクーデターで廃位になったり……。
そうした事件が起こった背景を史実に沿って解き明かしているので、本書ではまるで当時の時代にタイムスリップしたかのような臨場感を味わえる。
取り上げている時代劇も多岐にわたっている。『宮廷女官 チャングムの誓い』『イ・サン』『トンイ』『ヘチ 王座への道』『王になった男』『不滅の恋人』など。
こうした時代劇は歴史の重要人物を主人公にしているが、ドラマと違って実在の人物が史実ではどういうタイプだったかが一目瞭然となっている。それだけに、ドラマと並行して本書を読むと、歴史的な人物の生きざまを詳細に知ることができる。
何よりも、歴史は「表」と同様に「裏」もわからなければならない。特に「裏」に潜んでいる物語にはゾクゾクさせられるものがあり、本書を通してそれを知ることは快感である。
文=「韓ドラ時代劇」編集部
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