日本が知らない韓ドラ時代劇25年史8「史実よりも創作が増えた理由」

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1994年に『朝鮮王朝実録』のハングル版が完成して以来、この歴史書の記述を生かした時代劇が数多く作られて、韓国時代劇の主流を形成してきた。その中には『不滅の李舜臣』や『大王世宗』といった史実に沿った大作もあった。

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しかし、主要な実在人物のドラマはあらかた映像化されてしまい、2010年以降になると朝鮮王朝を舞台にした時代劇も新鮮味がなくなってきた。

そんな傾向を一気に変えたのが、架空のキャラクターを歴史上の人物と絡ませて重層的な人物構成にするという手法だった。そのスタイルで成功したのが2011年7月20日からKBSで放送された『王女の男』であった。

このドラマの斬新なところは、パク・シフが扮した主人公キム・スンユが完全に架空の人物だということだ。そんな主人公が金宗瑞(キム・ジョンソ)や首陽大君(スヤンデグン)という実在の大物と奔放に絡み合うことで、今までの時代劇になかった奔放な物語設定が可能になった。

『王女の男』の制作発表会

巧みな時代劇

それまで、少しでもストーリーが史実と違うと「歴史を歪曲している」という批判が起きがちだったのだが、架空の人物をたくさん入れると、その批判も避けることができた。

さらに史実から解放されて展開を自在に動かせたのが『太陽を抱く月』であった。このドラマは2012年1月4日からMBCで放送が始まったが、朝鮮王朝の王族や両班(ヤンバン)が続々と登場するのに、すべて架空の人物たちによる創作物語であった。

しかし、ストーリーや登場人物の設定はいかにも史実にありそうなほど信憑性が感じられた。つまり、いくら創作でも、荒唐無稽な話にはしないで、いかにも朝鮮王朝の一時期にありそうな展開になっていた。そのあたりは本当に巧みな時代劇だった。

この『太陽を抱く月』は大ヒットして、時代劇歴代視聴率で10位となる42・2%を記録した。

史実を重んじていた朝鮮王朝ドラマも、『王女の男』や『太陽を抱く月』の成功によって、創作の比重がどんどん大きくなっていった。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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