韓国時代劇の主要な舞台となる朝鮮王朝をわかりやすく解説した本が話題になっている。それが新刊の『新版 知れば知るほど面白い 朝鮮王朝の歴史と人物』(実業之日本社)である。著者の康煕奉(カン・ヒボン)さんに、韓国時代劇を見る際に朝鮮王朝の歴史をどう生かしたらいいのか、というテーマでインタビューをした。
――韓国時代劇は朝鮮王朝を舞台にしたドラマが圧倒的に多いのですが、それはなぜですか。
「朝鮮王朝の歴史は『朝鮮王朝実録』という正式な歴史書に詳しく書かれていますから、資料が豊富で歴史劇を作りやすいのです。また、朝鮮王朝の風習や儒教的な価値観が現代韓国にも色濃く残っていますので、ドラマを見ていても、とても馴染みがあるわけです。そういう理由から朝鮮王朝の物語が時代劇の主流になっています」
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――そもそも、朝鮮王朝というのはどんな王朝だったのでしょうか。
「518年間も続いた長い王朝でした。特徴としては、国王を頂点にした中央集権国家であったこと、儒教が国の重要な教えになっていたこと、厳しい身分制度を採用していたこと、政治を仕切った高官たちの派閥闘争が激しかったこと、などが挙げられます」
――そうした朝鮮王朝を取り上げた時代劇に共通した特徴がありますか。
「人気がある『宮廷女官 チャングムの誓い』や『トンイ』などは、みんな宮廷劇ですね。つまり、王宮の中だけで完結してしまうようなドラマが多いのです。登場人物も国王を中心に、王妃、側室、高官、女官などとなっています」
――今度の新刊ではどんな点に力を入れましたか。
「やはり、当時の王族の人物像、高官の役職、女官の立場といったことを知っておくと韓国時代劇の理解が深まりますので、そのあたりの解説に力を入れました。とはいえ、堅苦しい話にならないように、わかりやすい構成を心掛けました」
――新刊では新しい時代劇もたくさん取り上げられていますね。
「そうですね。『ヘチ 王座への道』『100日の郎君様』『王になった男』『不滅の恋人』といったドラマは最近のヒット作ですので、ドラマの背景となる歴史そのものについて説明しました。さらに、長く人気を維持している『チャングム』『イ・サン』『トンイ』なども史実との違いを明らかにしながら、ドラマと歴史の関わりについて紹介しています」
――今度の本を執筆しながら心掛けたことは何でしょうか。
「韓国の人は自国の歴史についての知識を相応に持っていますが、日本の視聴者は韓国の歴史について詳しくない方が多いでしょう。そのことを意識しながら、朝鮮王朝の制度や暮らしなどにスポットを当てて解説しています。また、11月5日には『新版 知れば知るほど面白い 朝鮮王宮 王妃たちの運命』と『新版 知れば知るほど面白い 古代韓国の歴史と英雄』も発刊されますので、一緒に読んでくだされば、韓国時代劇の理解がさらに深まると思います」
(聞き手/慎武宏)
〔著者紹介〕
康 熙奉(カン・ヒボン)
1954年東京生まれ。在日韓国人二世。韓国の歴史・文化や日韓関係を描いた著作が多い。主な著書は『悪女たちの朝鮮王朝』『韓流スターと兵役』『韓国ドラマ&K-POPがもっと楽しくなる!かんたん韓国語読本』など。新刊は『新版 知れば知るほど面白い 朝鮮王朝の歴史と人物』。11月5日には『新版 知れば知るほど面白い 朝鮮王宮 王妃たちの運命』と『新版 知れば知るほど面白い 古代韓国の歴史と英雄』が発刊される。
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