前編ではランキングの10位から6位までを紹介したが、今回は5位から1位までを順に取り上げていく。さすがにベスト5になると、作品性やキャストなど総合力が本当に高いドラマが揃った。
制作から10年以上が経っているが、今でも日本の地上波やBSで繰り返し放送されている人気ドラマだ。イ・ビョンフン監督は歴史上でわりと謎に包まれていた淑嬪・崔氏(スクピン・チェシ)を王宮の中で誠実に生きるヒロインに設定し、ハン・ヒョジュが明るく演じて成功した。イ・ソヨンが演じた張禧嬪(チャン・ヒビン)も単純な悪女ではなく、家族のために悪女にならざるを得ない事情も一緒に描いていた。脚本がとても工夫されていてストーリーに深みがあった。
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放送時に韓国で視聴率がふるわなかったが、内容は卓越していた。特に、17世紀前半の朝鮮王朝の歴史を史実に沿って巧みに描いていて、当時の歴史を知るうえで貴重なドラマになっている。特に、光海君(クァンヘグン)と仁祖(インジョ)という2人の国王を見事に対比させていて歴史のダイナミズムを感じさせる構成だった。イ・ヨニが演じた主人公の貞明公主(チョンミョンコンジュ)も魅力的なキャラクターで光っていた。
イ・ビョンホンが大ヒットさせた映画をドラマ化した作品で、ヨ・ジングが光海君と道化師の1人2役に扮した。具体的には、国王と道化師がガラリと入れ替わる場面もヨ・ジングが巧みに演じ分けていたが、イ・セヨンが扮した王妃とのラブロマンスも美しかった。さらに、ストーリーには何重にも仕掛けが組まれていて、回を追うごとに後の展開が気になって仕方がなくなる。それほどエピソードが本当にうまく繋がっていた。
最初から最後までワクワクさせてくれるスリリングなドラマだ。史実をうまく織り込んだストーリー、禁じられた恋に打ち勝つラブロマンス、特異なキャラクターを演じ分けた俳優陣、創造力が豊かな演出、オペラのような挿入音楽……すべてが高度に融合した傑作時代劇である。「死六臣」のエピソードも巧みに織り込まれていて、正義のために命を投げ出していく義士の生き方に感銘を受けた。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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