朝鮮王朝を舞台にした時代劇を見ていて、「この俳優が演じた歴史上の人物はイメージが史実とピッタリ合っている」と感心する例がいくつかある。その中から特に強調すべき俳優をランキング形式で選んでみた。
史実によると、ファ・ジニは10代のときにあまりに美しすぎて、恋やつれで命をおとす青年までいたという。それ以上の騒動を起こさないために彼女はあえて妓生(キーセン)になった。それほどの美貌を誇ったうえに詩才も抜群だったファン・ジニを演じるのにハ・ジウォンは申し分なかった。彼女が見せてくれた舞いの華やかさは、伝説の美女にふさわしかった。
【関連】【究極ランキング】康煕奉が選ぶ朝鮮王朝時代劇ベスト10(前編/10位から6位まで)
第4位 『イ・サン』のイ・ソジン
イ・サンこと22代王・正祖(チョンジョ)は常に暗殺の危機に脅かされていた。そんな苦境を乗り越えて、彼は朝鮮王朝後期の名君として歴史に残る善政を行なった。そんな正祖の真摯な生き方をイ・ソジンは堂々と誠実に演じ続けた。特に、困難の中で正しい政治を実行していく姿は、「名君もきっとこのようであったことだろう」と思わせる信憑性があった。
悪女として知られる張禧嬪(チャン・ヒビン)は、19代王・粛宗(スクチョン)の正室だった仁顕(イニョン)王后を徹底的にいじめ抜いた。そういう場面がドラマ『トンイ』によく出てきたが、それは史実でもしっかり記録されていることだ。救いだったのが、仁顕王后を演じたパク・ハソンが清楚で控えめな王妃を美しく見せてくれたことだ。彼女のイメージは聖女によく合っていた。
史上最高の名君と称される4代王・世宗(セジョン)の二男の首陽大君(スヤンデグン)と三男の安平大君(アンピョンデグン)は対照的な性格だった。野心家で武骨な首陽大君に対し、安平大君は真面目で芸術肌だった。結局は首陽大君によって死罪にさせられた安平大君だが、彼の正義感や才能を『不滅の恋人』でユン・シユンが誠実に再現していた。彼は安平大君を演じるのに最適な俳優だった。
記録によると、23代王・純祖(スンジョ)の長男だった孝明世子(ヒョミョンセジャ)は容姿端麗で頭脳明晰だったという。間違いなく将来の名君を約束されていながら惜しくも21歳で早世してしまったが、そんな無念の人生を『雲が描いた月明り』でパク・ボゴムが甦らせてくれた。彼の演技を見る度に、「孝明世子はこういう青年だったに違いない」と心から納得できた。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
■【関連】【究極ランキング】康煕奉が選ぶ朝鮮王朝時代劇ベスト10(後編/5位から1位まで)
前へ
次へ