長く韓国芸能界を取材していると、いろいろなジンクスを耳にしたことが多かった。その一つが「子役は大成できない」というものだった。
たしかに、20年くらい前なら、このジンクスは当たっていた。しかし、今はそんなことを言ったら笑われる。かつてのジンクスはすっかり霧散してしまったのだ。
それもすべて、子役出身の俳優で大成した人が多いからだ。そういう人の経歴を見ると、一つの共通点がある。それは、子役時代に時代劇で成功していること。
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実際に該当する人を挙げてみよう。
やはりトップに指名したいのがヨ・ジングだ。
彼もたくさんの子役に出た俳優だが、一番印象に残っていたのが『太陽を抱く月』である。彼は世子のイ・フォンを演じたのだが、大人顔負けの演技を見せて、視聴者の喝采を浴びた。後に大人のイ・フォンに扮したキム・スヒョンが「子役の評判がよすぎて重圧を感じた」と言うほどだった。
ヨ・ジングは子役でたっぷりと経験を積んだ後、大人の俳優として成長し、『テバク~運命の瞬間(とき)~』『王になった男』という時代劇で大活躍したあと、今は『怪物(原題)』でも評価を高めている。
ユ・スンホも子役からあまりに有名だった。時代劇でも『太王四神記』に主演したペ・ヨンジュンの子供時代に扮してタムドクという主人公の序盤を立派に務めた。彼は他に『善徳女王』などの時代劇によく出ていたが、大人の俳優になってからも『仮面の王 イ・ソン』で苦悩するイ・ソンを繊細な表現で演じきった。
女優を取り上げるなら、キム・ユジョンとキム・ソヒョンが双璧だろう。
キム・ユジョンはなんといっても『トンイ』の子役が有名だ。ハン・ヒョジュが演じたトンイの子供時代をユン・ヨジョンはハツラツと演じた。彼女は大人になってから『雲が描いた月明り』でヒロインに扮してスター女優になった。現在は新しいドラマ『紅天機(ホンチョンギ)』(原題)で主人公を演じている。
キム・ソヒョンも子役からスターになった女優で、特に『太陽を抱く月』などで印象的な子役に扮していた。大人に成長してからは時代劇での活躍が特に目立っており、今年は『王女ピョンガン 月が浮かぶ川』で国を守るために奮闘する王女を演じて大評判だった。
上記の4人以外にも、シム・ウンギョン、イ・セヨン、シン・セギョンなど、続々と「子役から大成したスター」の名前を挙げることができる。今や子役はスターへの登竜門と呼べる時代が来たのだ。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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