人気が高い時代劇に絶対に欠かせない役柄といえば、まずは主人公を取り上げるのが当然なのだが、同じようにとっても重要な存在になっているのが悪役だ。
とにかく、悪役がえげつないと見る人がハラハラするが、結局はこの「ハラハラ」が時代劇の醍醐味になっていくのである。
今まで時代劇で悪役といえば、張禧嬪(チャン・ヒビン)が定番だった。彼女は歴史上でも「朝鮮王朝三大悪女」の筆頭としてよく知られていて、時代劇ではキム・ヘスやイ・ソヨンが演じてきた。
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しかし、新しい解釈も加わり、美人女優の代名詞と称されるキム・テヒも演じている。このように、制作側の意図によって、描かれる悪女も変わってくるのだ。
そんな時代劇を過去にたくさん見てきて、一番心に残った悪役女優を3人選んで、ランキングをつけてみた。
キム・ミスクといえば、ハン・ヒョジュが主演した『華麗なる遺産』で演じたママ母の悪役が凄まじかった。「こんな血も涙もない母親がいるのか」と身の毛がよだつほどだった。それだけに、『オクニョ 運命の女(ひと)』でキム・ミスクが文定(ムンジョン)王后を演じることを知ったときは、「これはドンピシャだね」と妙に納得したものだ。それは、文定王后は歴史に残る極ワルの王妃だったからである。案の定、キム・ミスクが演じた文定王后は凄みがあった。彼女が出てくるだけで、「次はどんな悪事を?」と恐くなった。
キム・ヨジンは最近でも現代劇でとても印象的な演技を披露している。しかし、彼女の場合、過去に時代劇で演じた悪役が本当に味があって忘れられない。たとえば、『イ・サン』では王族女性としてジワジワとイ・サンを追い詰めていくところに悪役の妙があったし、『華政』では希代の悪女・金介屎(キム・ゲシ)を「恐ろしい策略を仕組んだ魔性の女」として堂々と演じていた。キム・ヨジンの演技には常に「果たして何が起こるのか?」と思わせる迫力があった。
とてもアクの強い表情が悪役にピッタリ
『宮廷女官 チャングムの誓い』でイ・ヨンエが演じたチャングムは、「時代劇の永遠のヒロイン」だ。そのチャングムをあれほどひどくイジメ抜いたのだから、やはりチェ尚宮(サングン)は「一番いやらしい悪役」と言われても仕方がない。とにかく、ハン尚宮への仕打ちも本当に許せなかった。そんな究極の悪女を演じたキョン・ミリは、とてもアクの強い表情が得意で、悪役にピッタリだった。彼女のきつい目でにらまれたら、誰でも身がすくんでしまうだろう。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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