韓国で今まで数多くの俳優を見てきたが、「成長力」ということをキーワードにするならば、ヨ・ジングが特別に優れていると思えてくる。
子役時代からの彼をよく見ていると、「ここまで俳優として本当にすばらしい成長力を見せてきたなあ」とつくづく感心してしまう。
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もともと勘がいいし、応用力も高いのであろう。まさに、ヨ・ジングは「俳優になるべくして生まれた男」と言えるかもしれない。
数多くの作品で子役として活躍していたが、やはり一番目立っていたのは、『太陽を抱く月』でイ・フォン役の子供時代を演じたときだった。
表情が本当に豊かだった。あの表現力は天性のものかもしれない。
以後も様々な作品に子役として出たが、大人の俳優としてメインキャストの一人になったのが『テバク~運命の瞬間(とき)』だった。
演じたのは21代王の英祖(ヨンジョ)。演技力が要求される難しい役だったが、ヨ・ジングは若い時代の英祖をダイナミックに演じていた。とにかく、スケールが大きい存在感を見せたのである。
あれほどの演技力を見せつけられると、時代劇ですごい役をやらせてみたい、と思う制作陣がいるのも当然のことで、ヨ・ジングはドラマ『王になった男』の主役に抜擢された。
演じたのは国王と道化師の二役。まったく違う役を並行して演じるのは相当な演技力が必要だが、ヨ・ジングはまるで別人がそれぞれに扮したように2つの役を演じ分けた。
それができたのは、緊張感とリラックスをうまく使い分ける演技ができたからだ。そういう意味でも、ヨ・ジングは俳優として引き出しが多いのが強みだ。
こうして『王になった男』を成功させたヨ・ジングは、以後も順調に主演作を見事にこなしており、『ホテルデルーナ~月明かりの恋人』で評価を高めたあとで、今年は話題のドラマ『怪物』でも安定した演技を見せていた。
かつてチャン・グンソクはヨ・ジングのことを「恐るべき俳優だ」と評した。ヨ・ジングはこの言葉が本当に当てはまる俳優になった。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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