パク・ボコム主演の『雲が描いた月明り』は「史実の無念さ」をどう変えたのか

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昨年8月に兵役に入ったパク・ボゴムが主演した時代劇が『雲が描いた月明り』であった。このドラマでパク・ボゴムが扮したイ・ヨンというのは、歴史的には孝明世子(ヒョミョンセジャ)のことであり、この世子は若くして亡くなってしまったが、ドラマの中ではイ・ヨンは最後まで元気に政務を全うしていた。

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つまり、歴史的に早世してしまった人物を肯定的に描くというのも、ドラマを面白く見ることができる秘訣であり、そうした脚色はストーリーにも多様性をもたらすことができる。

しかも、主役を演じたパク・ボゴムの存在感が際立っていた。

写真=『雲が描いた月明り』公式サイトより

無念の孝明世子

このように、『雲が描いた月明り』では、パク・ボゴムが颯爽とイケメンの世子を演じたわけだが、実は、世子のモデルとなった実在の孝明世子も本当に魅力的な人物であった。

彼は、1809年に生まれており、父親は23代王・純祖(スンジョ)だ。

とにかく、孝明世子はあまりにも頭脳明晰だったので、純祖はまだ18歳だった孝明世子に政治を代行させた。いわゆる、代理聴政(テリチョンジョン/摂政のこと)である。

孝明世子はこの代理聴政でも優れた政治センスを発揮して成果を挙げている。彼が特に優れていたのは、人事を巧みに操ったということだ。10代の若者にはとても難しいことなのだが、孝明世子は周囲が認めるほどの才能があった。

こうして将来性が豊かな若者として朝鮮半島の全土で大評判になり、「国王になれば、とてつもない大王になるのではないか」と期待を抱かせたのだが、運命だけはどうしても変えることができなかった。

彼は急な病で倒れ、21歳の若さで亡くなった。それは1830年のことだった。

そんな無念な孝明世子だったが、『雲が描いた月明り』で現代の韓国で甦り、パク・ボゴムが華麗な人生を再現してくれた。それによって、孝明世子のことを知る人が多くなったということは、無念だった孝明世子にとって少しは救いになったのではないか。

パク・ボゴムも『雲が描いた月明り』でイ・ヨンを本当によく演じてくれた。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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