『ヘチ』ではチョン・イルの奥深い演技によって物語がどう変わるか

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NHKで毎週日曜日に放送されている『ヘチ 王座への道』は序盤から面白い展開になっている。なんといっても、チョン・イルが扮している延礽君(ヨニングン)が、とても魅力的なキャラクターになっている。

当初から、延礽君は王族でありながら母親の身分がとても低かった、ということで不当にないがしろにされていた。

れっきとした粛宗の息子でありながら、あたかも王位継承の権利すら与えられないような立場だった。

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それは、あまりに不当であった。もちろん、延礽君は二男であり、異母兄の長男が世子になっても何ら不思議ではないのだが、それにして能力的には延礽君は大変優れていて、それは父親の粛宗も大いに認めていた。

しかし、王族ではない官僚たちですら、延礽君に対しては冷たい視線を向けていた。そうした話が序盤から目立ったので、チョン・イルは延礽君を演じながら哀しみの表情を浮かべることが多かった。

チョン・イル

思慮深い演技

それでも、延礽君は信念を持って王族の務めを果たそうとした。その1つが、科挙の試験で老論派が不正を行なっていたという事実を明らかにしようとしたことだった。これは延礽君としても起死回生の復活劇になるはずだった。こうしたエピソードを演じるときのチョン・イルの演技には華があるし、表情が生き生きとしている。

もともと、端正なルックスを持ったチョン・イルだが、感情的な演技を披露するときは、情熱的であり、さらに理知的な雰囲気も併せ持つ。本当に器用な俳優なのである。

同じ時代劇でいうなら、『太陽を抱く月』でもチョン・イルは国王の座を弟に譲らざるをえない王族を演じていて、目を潤ませた表情で多くの視聴者のハートをキャッチしていた。

あれから7年が経ったあとの『ヘチ』でも、チョン・イルは情感が豊かな王族を演じて、ドラマを大いに盛り上げていた。そんな彼は序盤から中盤に移っていくにつれて、さらに思慮深い演技で物語を牽引してくれるだろう。

文=康 熙奉(カン・ヒボン)

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