カン・ハヌルと言えば、ドラマ『椿の花咲く頃』で純朴な警察官を演じて好評を博している。そのカン・ハヌルが、2021年に放送予定の新しい時代劇『月が浮かぶ川』で、男性主人公の温達(オンダル)の父親となるオンヒョプを演じることになった。
この『月が浮かぶ川』はどんなドラマなのか。それは、韓国では誰もが知っている古い説話が元になっている。
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この説話を知らないと『月が浮かぶ川』の内容がよくわからないと思うので、まずは「温達(オンダル)と平岡(ピョンガン)姫の物語」を解説しよう。
高句麗の25代・平岡王(ピョンガンワン)には泣き虫の平岡姫がいた。彼女は、「泣いてばかりいると嫁に行けないぞ。そのときは『馬鹿の温達』の妻になれ」とよく言われていた。
この温達は正直で優しいのだが貧乏のどん底にいた。身なりも汚れていたので馬鹿にされていた。平岡姫が16歳になったとき、平岡王に反発して「あれだけ『温達の妻になれ』と言われたので、そうします」と言って宮殿を飛び出して、本当に温達の妻になってしまった。
すぐに生活のために平岡姫は金の腕輪を売って温達に言った。「馬を買います。商人の馬は高いので、見放された痩せた馬にしましょう」。この言葉に温達も従った。
平岡姫は痩せた馬を巧みに世話して大きく育てた。その馬で温達は王の狩りに参加してたくさん獲物を取った。さらに、戦争でも温達は手柄を立てた。平岡王は大喜びして温達に高い官職を与えた。こうして彼は平岡姫のおかげで大出世した。
平岡王が亡くなり、嬰陽王(ヨンヤンワン)の代になった。温達は「奪われた土地を取り返してきます」と言って再び戦場に行ったが、運悪く戦死してしまった。部下が彼を弔ったとき、棺がまったく動かなくなった。すると、平岡姫が来て棺にやさしく話しかけた。「勝負が終わりましたから天国へ行きましょう」。すると、動かなかった棺がようやく前に進んだ。そして、みんなが英雄の死を悼んだ……これが「温達と平岡姫の物語」なのである。
この説話を元にした時代劇『月が浮かぶ川』で、人気のキム・ソヒョンが平岡姫に扮し、カン・ハヌルは温達の父のオンヒョプを演じる。
現代劇の『椿の花咲く頃』から一転して時代劇で重要な役に扮するカン・ハヌル。彼の新作に大いに期待したい。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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