NHKのBSプレミアムで日曜日午後9時から放送されている『太陽を抱く月』。このドラマは、第5話で物語が急変する。
世子フォンの婚約者に選ばれたヨヌは幸せの絶頂にいた。しかし、そこから大妃(王の母)の陰謀が始まる。勢力の拡大を狙う大妃は巫女を使ってヨヌを呪い殺そうとする。不運にも重病となってしまったヨヌは実家に帰され、父の胸に抱かれて世を去ってしまう。
この場面は多くの視聴者の涙を誘ったが、子役時代のヨヌを演じていたキム・ユジョンも「特に印象に残っているシーンです」と語っている。
キム・ユジョンは、「実際に演技をしようとしたら、本当に悲しくなりました」と生々しく振り返った。
「シナリオを読む時も悲しいとは思いましたが、そこまで感情が強烈だとは感じられなかったのに、現場では感情が爆発したんです。あまりにも没頭したせいか、つらかったです。とても悲しくて涙が止まらなくなりました」
こう語るように、キム・ユジョンは演じながら感情が高ぶりすぎてしまった。それによって、監督からは「撮り直さなければならない。あまり泣いてはいけない」と忠告されてしまったという。
「たしかに、感情を押さえたほうがもっと悲しく感じられたかもしれません。しかし、私もそうしたかったんですが、涙が止まらなかった。気持ちを整理するのが大変でした」
結局、ヨヌが父親に抱かれて息を引き取るシーンによって、キム・ユジョンは忘れられない経験したのだ。
「第1話で私の演技が足りなかったのは、その時に私はまだヨヌではなかったからです。第3話や第4話になってもっと感情移入できて、だんだんヨヌになっていったと思います。そして、ヨヌが死ぬ場面は5話目だったのですが、その時やっとヨヌになれました。とても悲しくて、そのシーンから抜けだすのに苦労をしました」
こう語ったキム・ユジョンは、最後に「実は、私は感情が爆発するシーンがすごく好きなんです」と言って爽やかに笑った。
(文=康 熙奉/カン・ヒボン)
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