傑作時代劇『トンイ』では、ハン・ヒョジュが演じた主人公トンイの明るく優しいキャラが鮮烈だったが、ライバルとして対抗したのが、イ・ソヨンの演じた張禧嬪(チャン・ヒビン)だった。
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この女性は史実でも悪女として有名だが、その張禧嬪の実兄が張希載(チャン・ヒジェ)である。ドラマの中でも、とても狡猾な男であり、妹が側室から王妃になったときは、数々の悪巧みを実行していた。
通常なら、科挙に合格して官僚は出世していくものなのだが、張希載は妹のコネを利用して高官になっていった。とはいえ、トンイこと淑嬪・崔氏(スクピン・チェシ)を毒殺しようとして粛宗(スクチョン)から厳しく処罰され、結局は済州島(チェジュド)に流罪になってしまった。さらには、最終的に死罪となっている。
このように、妹が王宮で権力を持つと同時に出世し、さんざん悪事に手を染め、妹の没落によって自らも歴史から姿を消した…それが張希載と言う男の実態であり、『トンイ』の中でも汚れ役を引き受けるというイメージが強かった。
そんな張希載を憎たらしく演じていたのがキム・ユソクだ。彼は1966年に生まれ、名門の東国大学で演劇を学んだあと、1998年に映画『カンウォンドの恋』でデビューした。
時代劇『王の女』(2003年~2004年)では、チソンが演じた15代王・光海君(クァンヘグン)の兄であった臨海君(イメグン)に扮して注目されるようになった。そして、『トンイ』で張希載を演じたあともキム・ユソクの活躍はめざましかった。
彼は、『階伯(ケベク)』(2011年)で百済(ペクチェ)の忠臣フンスに扮し、『屋根部屋のプリンス』(2012年)で主人公イ・ガクの父親を演じていた。また、『大王の夢』(2012年~2013年)では、新羅(シルラ)の英雄と称されたキム・ユシンに扮していた。
このように、キム・ユソクは時代劇を中心に幅広い役を演じていた。最近では、『復讐の渦~因縁の父娘(おやこ)』(2023年)で卑劣な父親に扮し、強烈な存在感を見せた。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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