【韓ドラになった歴史人】『ポッサム』に登場した李爾瞻はどれほど非道だったのか

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チョン・イルが主演した時代劇『ポッサム~愛と運命を盗んだ男~』で、キム・テウが光海君(クァンヘグン)に扮していた。その光海君を支えた重臣の李爾瞻(イ・イチョム)は名優のイ・ジェヨンが重厚に演じていた。ドラマの中で彼は策士として描かれていたが、史実ではどんな人物だったのだろうか。

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1608年に光海君が即位したが、彼を支えた派閥が大北派であり、それを率いたのが李爾瞻(1560~1623)だった。彼は、「悪の女官」と称された金介屎(キム・ゲシ)と組んで、光海君の後ろで汚れ役に徹しながら権力を掌握していった。

李爾瞻と金介屎が最初に標的にしたのが臨海君(イメグン)だ。この兄は弟の光海君を痛烈に批判して、自ら王位を狙う姿勢を示した。これでは生かしておくわけにはいかない。李爾瞻と金介屎は臨海君の命を1609年に奪っている。

次の標的は光海君の異母弟の永昌大君(ヨンチャンデグン)だった。彼の横には母の仁穆(インモク)王后がいつも付いていた。しかし、李爾瞻は手加減をしなかった。宣祖(ソンジョ)の正室から生まれた永昌大君が生きていると、宣祖の側室から生まれた光海君の王位も不安定だったからだ。

そこで、李爾瞻は都合のいい捏造事件をでっちあげて、まずは金悌男(キム・ジェナム/仁穆王后の実父)を死罪にしてしまった。

『ポッサム~愛と運命を盗んだ男~』
『ポッサム~愛と運命を盗んだ男~』ではイ・ジェヨンが李爾瞻を演じた(写真=© MBN All rights reserved)

権力を掌握した汚れ役

恐ろしい悲劇に見舞われた仁穆王后は、せめて永昌大君を守りたいと願ったが、李爾瞻と金介屎は永昌大君を仁穆王后から引き離した。さらに、永昌大君をそのまま江華島(カンファド)に流罪にした。

1614年、李爾瞻と金介屎は刺客たちを江華島に送った。すると、刺客たちは永昌大君の部屋を取り囲み、オンドル(床暖房)を異様に高温にして永昌大君を焼き殺してしまった。永昌大君はまだ8歳だった。

彼は母の名を叫びながら焼死したという。あまりにも非道な暗殺であった。絶望した仁穆王后は大妃の立場を奪われて、離宮に幽閉された。

こうして李爾瞻は光海君の王位を盤石にした。しかし、時間とともにゆるみが生じてしまい、政権は危険水域に入ってしまった。
1623年、王族の綾陽君(ヌンヤングン)が主導するクーデター軍が王宮を襲い、光海君は廃位になった。すかさず綾陽君は仁祖(インジョ)として即位したが、李爾瞻は無残に斬首されてしまった。

【李爾瞻(イ・イチョム)の人物データ】

生没年
1560年~1623年

主な登場作品()内は演じている俳優
『宮廷女官キム尚宮』(ソ・インソク)
『ホ・ギュン~朝鮮王朝を揺るがした男』(ソン・ドンヒョク)
『華政(ファジョン)』(チョン・ウンイン)
『ポッサム~愛と運命を盗んだ男~』(イ・ジェヨン)

文=大地 康

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