時代劇『善徳女王』のヒロインになっている善徳(ソンドク)女王。イ・ヨウォンが快活に演じているが、彼女の生い立ちがドラマでは波乱万丈に描かれている。たとえば、「善徳女王は双子の妹として生まれた」いう設定もスリリングだ。
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これは、あくまでも物語を盛り上げるための設定だ。史実の彼女のことは歴史書『三国史記』で「名は トンマン(徳曼)で、真平王(チョンピョンワン)の長女である。母の姓は金氏で、麻耶(マヤ)夫人である」と記されている。このあたりは、ドラマの設定と大いに違う。なによりも「双子の妹」ではなく、まぎれもなく「長女」なのである。
とにかく、トンマンは子供の頃から情が深くて頭がとても良かったという。それに関して歴史書の中で興味深いエピソードが紹介されている。それは、まだ彼女が幼い頃の話だ。中国から牡丹の絵と種が送られてきた。その牡丹の絵を興味深く見ていたトンマンはこう言った。
「牡丹は確かに美しく咲くかもしれませんけれど、香りがしないと思います」
そう明言したのだ。真平王は不思議に思った。なぜ娘がそう言うのかがよくわからなかったのだ。そこで真平王は「どうして香りがないとわかるのか」と尋ねてみると、トンマンはきっぱりと言った。
「よく見てください。牡丹の絵には蝶がいませんよね。もしも香りがあるのならば蜂や蝶がたくさん寄ってくるはずです。この花を見る限りでは蝶や蜂がいませんから、香りがないとわかってしまうのです」
トンマンはそう断言した。
実際に牡丹の種を撒いてみると、花が咲いても香りがまったくしなかった。トンマンの指摘の正しさがこれによって証明されたのである。
このエピソードはトンマンを語るときによく例え話として持ち出される。確かに、状況を把握して将来的なことを予測する能力が優れているし、実際に即位した善徳女王は、天才的な判断力を発揮している。そうした素質に恵まれていたことは、幼い頃の牡丹の逸話が端的に示している。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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