韓国時代劇と言うと、1392年から1910年まで続いた朝鮮王朝を舞台にした作品があまりに多い。この時代は儒教思想に基づく身分制度が強固だった。その中で男尊女卑の傾向が根強くあって、物語のヒロインも社会的な制約を受けることが多かった。『宮廷女官チャングムの誓い』を見ていても、当時の事情が顕著にわかるだろう。
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その一方で、同じ韓国時代劇でも、古代の三国時代を取り上げたドラマでは女性が男性に負けないほどの地位を得て飛躍する実例があった。その中の1人が、イ・ヨウォンが『善徳女王』で演じたヒロインだった。
朝鮮半島の歴史で女王は3人誕生しているが、最初の女王になったのが善徳女王であり、ドラマ『善徳女王』はこの女性をドラマチックに描いている。これほどドラマで注目を集めた女王が歴史上で在位したのは632年から647年までであり、三国時代の一翼を担った新羅(シルラ)を果敢に統治した。
彼女が即位したとき、どうしても新羅は高句麗(コグリョ)や百済(ペクチェ)より劣勢だったので、中国大陸を支配していた大国の唐に協力を求めようとした。しかし、唐は冷たかった。せっかく善徳女王が使者を送っても、唐はこう言い放った。
「お宅の国は女が国王になっているので、他国に侮られているのだろう。ウチの王族を送るから、その王族を国王にしたらどうか。そうすれば、協力してあげよう」
このように唐に言われてしまった善徳女王。国内では、唐の言うとおりにしたほうがいい、という高官たちの意見も多かったが、善徳女王は悩んだ末に、結局は唐の申し出を断った。
そのうえで、国内の人材育成に徹底的に取り組むことを決意して、「花郎」(若いエリートを中心にした英才教育システム)を最大限に生かして若者たちを重要な任務に抜擢するようになった。
これが功を奏して新羅は強い国に生まれ変わり、やがては百済と高句麗を滅ぼして朝鮮半島を統一することに成功した。
このようなレジェンドを主人公にしたのが『善徳女王』であり、古代らしいスケールの大きい歴史巨編になっている。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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