『赤い袖先』というドラマはイ・ジュノが演じるイ・サンが即位するまでが前半であり、苦難を乗り越えてイ・サンが国王になっていく過程を迫力満点に描いていた。その中で対照的な立場を取っていたのが、ソ・ヒョリムの演じる和緩(ファワン)翁主(オンジュ)とチャン・ヒジンが扮する王妃キム氏であった。
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和緩翁主は完全な悪役として登場している。彼女は英祖(ヨンジョ)の娘であり、その立場を悪用して横暴に振る舞っている。とにかくイ・サンの即位を邪魔する急先鋒の女性であり、本来は甥で身内なのにイ・サンに対して厳しく対応している。
一方の王妃キム氏は年老いた英祖の二番目の妻であり、孫娘のような年齢差になっている。必然的に英祖の妻でも、英祖の娘である和緩翁主より年下だ。そういうことを強調しながら和緩翁主は王妃キム氏について高慢な態度をとっている。
これは王妃キム氏にとって我慢ならないことであった。血は繋がっていないとは言っても、娘に完全に馬鹿にされてしまっているからだ。
こうして和緩翁主と王妃キム氏の対立が『赤い袖先』では象徴的に描かれていくのだが、いよいよイ・サンの即位が近くなってくると立場は明らかに違ってくる。結局は英祖の命令によって和緩翁主は玉璽(ぎょくじ)をイ・サンに渡す役目を負わされた。これは大変な屈辱である。
あれほどイ・サンの即位を邪魔していたのに、今度はイ・サンの即位を歓迎する行為をしなければならない。本来なら絶対に避けたいところだが、国王の命令を聞かないわけにはいかない。
不本意ながら、屈辱の中で和緩翁主は玉璽をイ・サンに渡す役目を担った。一方の王妃キム氏はイ・サンが苦難にあるときに彼の立場を守る役目を演じた。もしイ・サンが即位すれば大妃(テビ)として絶大な権力を振るうことができる。そうなると和緩翁主との立場は明らかに大逆転したことになる。そういうところも細かく描いているのが『赤い袖先』の奥深いところだ。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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