朝鮮王朝では、王妃の息子と側室の息子は身分で大きな違いがあった。呼び方にしても、王妃の息子は大君(テグン)、側室の息子は君(クン)と明確に分けられた。
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『シュルプ』は、キム・ヘスが演じるファリョン王妃が、自分の産んだ大君たちを守るために命をかける物語だ。
そんな大君たちは、王宮の中でどのように育つのだろうか。
まず、王妃は身ごもると、食べ物にとても気を使った。旬の食材が一番からだに良いという考え方から、季節に合わせて最良の食材を使った料理を食べた。
王妃の出産日が近づいてくると、王宮の主治医と高官を中心として産室庁が作られた。そのうえで、最高のスタッフを動員して出産に備えた。
無事に大君が生まれると、梅花、桃、スモモの木の根、胡桃などを入れて沸かした後に猪の胆嚢を入れた水でからだを洗った。すべて赤子に幸運をもたらす縁起物だ。
さらに、長寿だった官僚が着た服の布で作った特別な産着を大君に着せた。なんといっても、長寿の人の「気」をもらい受けることが一番重要だったからだ。
同時に、大君のへその緒と王妃が出産のときに使った敷物も丁重に保管された。そして、大君を得た国王は我が子の無病を願う祈祷を大々的に執り行なって、全国に向けて赦免令を出した。
特に大君が元子(ウォンジャ/世子になる筆頭候補で長男が多い)であるならば、養育と保護のために保養庁が作られて次世代の後継者として本当に大事に育てられた。
元子が成長して字を学べる頃になると、すかさず保養庁は講学庁に改められる。元子は朝講、昼講、夕講と、1日に3回の講義を受けて帝王学を学んでいくのである。
元子以外の大君は帝王学を学ぶ必要はないが、もし元子が早世した場合に備えて、必要な学問をみっちり身に着けておく必要があった。
こうした準備を経て世子が決まると、王妃もひと安心である。王妃は側室が産んだ王子を警戒しながら、大君たちの安寧を願っていた。それは、『シュルプ』でファリョン王妃が常に念じていたことであり、キム・ヘスが迫力満点の演技で大君たちを守っていた。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)
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